「ある年の夏の小旅行のメモ的17文字です。」

港発つ子等の期待が目に見えて   亀太郎

波切りて走る舟身の軽快さ   亀太郎

甲板に潮風吹くきて空晴れて   亀太郎

酔い人が酒宴で決めた今日の旅   亀太郎

台風(かぜ)後の土日で混んだ船の客   亀太郎

岩山が海面に集う慶良の島   亀太郎

岩肌に古代地層のうねりあり   亀太郎

初航路子より子どもに還る我   亀太郎

家護る主らしさを少し持ち   亀太郎

酔い人につきあう家族気兼ねして   亀太郎

三家族が気持ち合わせるテント張り   亀太郎

竃(かま)つくり薪(たきぎ)拾いに子等はしゃぎ   亀太郎

西浜の子等の笑顔が映える海   亀太郎

ダイバーの気に入るサンゴちりばめて   亀太郎

すり寄りて警戒しない餌付け魚   亀太郎

大鍋に人参じゃがいも豪快煮   亀太郎

いつになくうま味増してるカレーかな   亀太郎

とばりおり酔い人集いしばし酔い   亀太郎

差し入れの酒の肴(さかな)は焼きカマス   亀太郎

すやすやと寝る子護りて酔う三人   亀太郎

夜深く餌嗅ぎ集う慶良間鹿   亀太郎

朝日受け釣り糸垂れる西浜辺   亀太郎

朝食の釣った魚に舌つづみ   亀太郎

出会いより忽ちなじむ子どもの輪   亀太郎

海底の戯(たわむ)る魚間近見ゆ   亀太郎

子等泳ぐ深場餌付けのまぶしさよ   亀太郎

ヌードルもありがたきかな野営食   亀太郎

たたむのも苦労一倍我がテント   亀太郎

急に決めせわしさあれど実がありて   亀太郎

船待つも島の楽しさなごりおし   亀太郎

シート敷き床で夢見る帰り船   亀太郎