一人の人権を顧みない「国家」の理論か、
一人の人権から始まる「人間主義」の視点か。
開催にあたって
この度、沖縄県、那覇市などの協カを得て「沖縄からのメッセージ」展国内巡回展を開催する運ぴとなりました。本展は、創価学会沖縄県青年平和委員会によって製作された「沖縄の歴史と使命」展をべースに、15世紀の琉球王国の統一から現代に至る沖縄の歴史をたどるものです。また、あわせて戦争体験者によって描かれた「沖縄戦の絵」展を併設しています。
琉球王国の時代、アジア諸国との交易を通じ、「武器のない王国」として栄えた沖縄。武カよりは友好を重んずること、閉鎖的であるよりは、開放的であることーそれは沖縄の人々の平和に生きるための「知恵」でした。
共生と開放の「沖縄の心」、それは今を生きる私たちにとっても、示唆に富むメッセージと言えるでしよう。
その沖縄は17世紀の琉球侵攻以来、国策に翻弄される悲劇の歴史を繰り返してきました。アジア侵略の足場にされた明治期。アメリカ軍の本土上陸を少しでも遅らせるための「捨て石」にされた沖縄戦。日本で唯一住民を巻き込んだ地上戦の場となった沖縄では、当時の県民の三人に一人が犠牲になったと言われています。敵によってだけでなく、「集団自決」の強要など味方によっても多くの人々が殺されたという事実は、抽象論や観念論でなく、戦争というものの本質を私たちにまざまざと訴えかけています。そして戦後の「基地の島」としてかかえる様々な矛盾。国家の論理がときとして人権を抑圧する。その矛盾は同じ日本に生きる私たちにとって、決して無縁と言えるものではありません。
本展が、「沖縄の歴史」という具体的な事柄を通して、「国家の理論」を越え「人間主義」の時代を築くための、私たち一人一人の思索と行動の一助となることを念願しております。
「沖縄からのメッセージ」展実行委員会
1996年1月