クラカン劇場


3つの小品〜気まずい時〜


その1

仕事で話をしている最中に携帯が鳴ると、気まずいの一言につきる。
恰幅のいいおっさんの、業者さんのポケットから、いきなり
「となりのトトロ」が流れてきたときには、

「おいお〜い、いい年こいて・・」と思ってもみたくなる。

こんな事はままあるのだが、先日の業者さんはちょっと違っていた。
事務所の戸口に現れたのは背広姿の青年だった。
元気よく
「失礼します!」と言って入りかけた時、彼の携帯が鳴った。

ピコンピコン、ピコンピコン、ピコンピコン・・

ウルトラマンのカラータイマーの音・・・。

「3分で帰るのかよ〜・・」

心の中で爆笑しながらしばらく顔を上げることができなかった。
携帯の着信音には注意しましょう・・。


その2

アルバイトのKさんは今どきの女の子。
元気いっぱい、若いっていいねぇ〜(すっかりオジサン)
黄色い声で呼ばれると、なぜかこっちまで声のトーンがあがってしまうのは条件反射なんだろうか。
パソコンで夢中に画面に釘付けになっていると不意にKさんの柔らか〜い声。

「ね〜さ〜んっ」


「はぁ〜い〜っ!」


「お客さん見えてますよ〜」


 ぶっ!!


見ると、いつの間にかすぐそばに業者さん。

「ど、どーぞこちらへ・・・」

え、えーと、何の用件だっけ・・・ちょっと動転(^^;


その3

ある日、残業をしていたら私が最後となった。
事務所のある4階はもう誰もいない。戸締まりをしてエレベータに乗り込む。
エレベータの扉が閉まって、
突然!・・・不覚にもお○らをしてしまった。
まぁいいか、誰も乗ってないし・・。

”出物腫れ物所嫌わず”ということで・・・。

すると、急にエレベータが止まり、扉が開いた。
慌てて上を見ると、表示は”3F”


油断していた・・・
まさか3階から乗り込んでくるなんて・・。

私はエレベータの隅で小さくなり、何故か
意味もなく息を殺して立っていた。

残りわずか2階分の時間が、まるで10階から乗り込んだ時間に感じたのは言うまでもない・・。



  


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