本番当日。
出番の時間が遅いのをいいことにしっかり寝坊してコテージを後にする。
レンタカーに乗り込み、地図を広げ会場までの道順を確認する。
そのまま国道を進んでも行けるのだが、ちょっと回り道。しかしよく見ると、途中で国道から分かれた道が会場のすぐ裏手まで伸びているではないか。
時間もまだあるし、のんびりドライブ気分で精神的に落ち着かせて本番に臨もう、ということで途中で本道を逸れ、地図が示す道へと向かった。
しかし、道がどうも怪しい。
舗装がなくなり、道幅がどんどん狭くなる。
右側が山で左側がガケ。地図では合っているはずなのだが・・。
ついには、けもの道状態になってしまった。
「今さら引き返すってできない・・よね?」
「こんな狭いガケ道、どこでUターンするんだよ」
「これ対向車が来たらどうするの・・?」「う〜ん・・」
「あ、猿・・」
本来ならサファリパーク気分で、「どこっ、どこ!」と盛り上がるはずなのだが、この状態でのセリフはいかに山奥深い所に来てしまったかをますます思い知らされることとなり、一同を更に不安にさせていった。
・・・するとどうしたことだろう、急に道が広くなったと思ったら、何と本当に演奏会場のそばに出ていたのである。
地図は正しかった。しかしメンバー一同顔に黒筋がたっている。グロッキー状態である。
とりあえず、気持ちを落ち着かせて昼食、会場へ。
会場はまだ新しいようである。受付をして楽器置き場へ向かう。
ドアを開けると、すでに多くの団体が集まっておりそれぞれ音合わせをしている。
みんなスゴイ・・楽器を持ったままメンバーはすっかり固まってしまった。
一同がビビっている中、甥のまーさんがスッと歩き出した。
「ちょっとトイレ・・・」
「あ、俺も・・・・・」
「私も行く・・・」
「私も〜!」
「イヤーっっ!1人にしないでー!!」
金魚のウ○チのごとくメンバーは次々と部屋を出、そのままトイレへと列をつないでいった。
(その3へつづく)
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