クラカン劇場


クラカン全国道中記(’00in仙台 その3)


当日。
朝の練習もそこそこに会場へ。
すでに高校の部が始まっている。下見がてらホールへ入る。
げっ、超満員・・・。
ただならぬ緊張感。この中で演奏するのかよ〜。
一気に立ちくらみとなる。
しかし、倒れている間もなくアっという間にリハーサル。

・・・確かにリハーサルの時って、防音設備がないことが多いから、結構音が響いて逆にそれがいい感じに聞こえるんだけど・・・今回はちょっと度が過ぎないかい?・・・タイル張り。
風呂場の鼻歌状態である。

「じゃあぁぁ、ピッチの音ぉぉ、出してぇぇぇ」

「ドォォォォォ〜」


響きすぎて、合っているのか合ってないのか分からない。
適当にすませて、いざ本番。

T楽章、まさかのノーミス(笑)。
こうなると、お決まりの思考回路となる。
「こんなにウマくいくはずがない!」(ゆんたく「ねーさんの法則」参照)
U楽章、カデンツァ、どソロ。
超満員の中、舞台で自分一人だけが吹いている。飛び切り小さな音で吹いても自分の音だけが会場に響く。
恐ろしいほどの静寂、緊張感。

ゆ、指がからみそうだ、や、ヤバイ。
んー、んー、や、やっちまうか〜、


ピャー!!


・・・ヤっちまったよ・・・

気を取り直して続けるが、どうもリードと相性が悪かったらしく、思ったような音が出てくれない。
何となく消化不良の感じでそのまま最後までいってしまった。
んー、吹けたような吹けなかったような・・もうちょっとうまく演奏できてもよかったはずなんだけど。
複雑な気持ちでステージを後にした。

「ウチって何賞だと思いますー?」

表彰式の舞台上、とも姉が私(ねーさん)に聞いた。

「さぁ、金銀銅の比率からして3〜4団体くらいが金賞かなぁ。っつーとこからして、ウチが7番目だから、ウチの前で金賞が1〜2団体くらいだったらウチも可能性あったりしてー、アハハー」

「数字上はそうなりますかねー、じゃあ前の団体の金賞数えときますかー、アハハー」

などと喋っているうちに成績発表が始まった。

「一般の部、1番・・・金賞」

いきなりの金賞。
次々に発表は進んでいく。

「6番・・・金賞」

アハハハ・・・この時点ですでに金賞3つだよ。じゃあウチは何賞だ?

「・・7番、沖縄クラリネットカンパニー、金賞」

「はぇっ!?」

この間抜けな声とリアクションはビデオに撮られ、永久保存版となる。
私にとっては、栄光よりも屈辱の瞬間であった。

大会の次の日は温泉宿での宿泊だった。
職場の部で参加した沖縄○行のご一行も一緒ということで、
九州大会の打ち上げ同様、乱れまくったことは言うまでもない。
メンバーの一人は、飲み過ぎのあまり
トイレにて××中のところを、
ノックもなしにいきなりあけられ、現場を見られるという辱めをうけたそうである(爆笑)。

そして帰途。那覇空港に着いたときに、
「沖縄クラリネットカンパニー金賞おめでとう!」
の横幕があるはずもなく、みんな普通に家路に着いた。
しかし、金賞の喜びはじわじわと結構長く続き、後に届いた演奏のビデオを何度も見ては余韻に浸っていた。

「もういい加減にしたら!」

という家族のあきれた声により、誰もいない時に一人でこっそり見ては悦に入っているのはメンバー共通のようである。

「金賞・・はぇっ!?」
・・・はぁ〜、編集したいなぁ、このシーン・・・

(おわり)

                        
  
  


ゆんたくのページへ

TOPへ戻る