クラカン劇場


クラカン九州道中記(’99in鹿児島)


その年は、ねーさん、おぎっち、ハイジに、当時メンバーだったコーちゃん、それにねーさんの甥っ子のまーさんの五人で会場となった鹿児島は霧島に向かった。
宿は会場敷地内にあるコテージ。有名な音楽ホールということもあってか、そこには演奏者が滞在しそのまま練習ができるという、われわれには願ってもない施設があったため、県代表決定後、速攻で予約してあったのだ。

入ってみると防音壁、さすがである。ホーっと感嘆の声を上げているなかで、一人だけ不機嫌なヤツがいた。
「おいお〜い、テレビがねーじゃんかよ〜!」
テレビを生活の友としているお○っちにとって、テレビがないこのコテージはいささか不満足なものだったらしい。
「ま、と、とにかく練習しよ!」
「そ、そうだよ、やろう・・」

何とかその場を取り繕って早速練習に入った。
防音壁で音が吸われるため、生音が聞こえる。
やはり素人の我々にとっては、直前の練習ぐらいはお風呂場での鼻歌みたく、残響よろしくいい気分に浸って本番を迎えた方が暗示にのっていい演奏ができるのかもしれない。
あんまり気分ものらないため、早々に練習を切り上げることにした。
しかしダラダラしているわけにはいかない。全員で寝起きを共にするテレビのないこの部屋で、お○っちが暴れてはたまらないので、我々はすぐに宴会の準備をし、酒でなだめる作戦に出た。

作戦が功を奏してか宴は楽しく進み、すっかり酔い心地となり就寝の時間となった。
我々は2階に布団を敷き寝ることにした。
しかし、一人だけ2階に上がってこない。
2階から下を見ると、ハイジがさっきまで宴会をしていた居間に布団を敷いているではないか。
「ハイジ、お前そこで寝るのか?」おぎっちが聞いた。
「だって電気点けてないと寝れないんだもん・・」
「バカヤロー、電気消せー!」
「いや〜ん・・」

こうした押し問答がしばらく続いていたが、トイレに入るため階下にまーさんが降りてきたのをきっかけにコテージは大騒ぎとなった。

「一人じゃ寝れな〜い」
「まーさん、一緒に下で寝よ〜」
「ええっ!」
「こ、コラー!うちの甥に手ぇだすなー!」
「変な事言わないでよー。そんな意味じゃないよー!」
「電気消せー!」
「うわー!○○ちゃんが寝ゲロしてるー!」
「なにー!」
「ハイジー!ボケッとしてないでタオルゥー!!」
「もーイヤぁ〜!!」


一同は階段を上に下にと大騒動となり、コテージはまさしくドリフコントのエンディング状態となってしまった。
バタバタと走り回りながら、皆の頭の中では、ドリフの「舞台回転のテーマ曲」がその場の雰囲気に合わせるかのように流れていた。

ンチャチャチャ チャンチャカチャンカ チャンチャカチャンカ チャンチャカチャン・・・


・・・さて、本番の会場は、新しい上に室内楽には程良い大きさで響きも良かった。
もっとも我々の演奏はリードとの相性が今ひとつだったか、ピアニシモで音がかすれ、フォルティシモで音がつぶれ散々であった。
講評を読んで、メンバーはお○っちに声を合わせてつぶやいた。

「あーそーさ、アンタらの言うとおりや、どーせアタイらは・・・」



                        
  
  


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