クラカン劇場
空港で荷物を預けた。 ベルトコンベアに乗せられ、レントゲンのようなものでカバンの中をチェックされているらしい。 出てきたカバンを取り、カウンターに向かおうとすると、 「ちょっと待ってください」 若い男の検査員に呼び止められた。 「?」 怪訝な顔をしていると、検査員が話し出した。 「カバンの中にビンのようなものが入っていますね。スイマセンがカバンの中の物を出していただいてもいいですか?」 「!!」 正直ドキッとした。機内持ち込みにすると手荷物検査で引っかかるかもしれないからわざわざ荷物預けにしたのに、こんなとこで中身のチェックされるなんて・・。 カバンを開けてからもモジモジしていると、 「カバンの右の方です。そう、そのあたりにあるもの」 検査員はおかまいなしに事務的口調である。 仕方がない、私は渋々検査員の指する側にあるものを取り出した。 ハゲ薬の王道、「リ○ップ」である。 検査員はあくまでも事務的に「リ○ップ」を取り上げ、もう一人の検査員(これも若い男)に、「これですかね?」と問いかけた。すると、 「もう1つあるようですね、出してもらえますか」 え〜!!これってある意味セクハラじゃないのかぁぁぁ・・!? 心の中で泣きながら、私はリ○ップの良きパートナー、 「リ○ップヘアトニック」を差し出した。 2人の検査員は2つの「リアップ」を手にとってシゲシゲと眺めた。 「あ〜、これこれ、これですよ。ハイ、結構です」 すっかり辱めを受けた気分で私は2つの「リ○ップ」を受け取った。 あー、髪フサフサのあんたらにはこの気持ち分からんさ、 ウゥゥ・・。 カバンの中に戻しながら、私はヘアスタイルかっちりキープの、「リ○ップヘアフォーム」を握りしめていた。 リ○ップシリーズはたくさんあるのさ・・ |