有限会社 南西不動産鑑定所 石綿のページ

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労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)及び石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。)の一部が改正され、平成18年9月1日から、これら法令に基づく規制の対象となる石綿等の石綿の含有率(重量比)が1%から0.1%に改められることから、同日以後は、石綿等がその重量の0.1%を超えて含有するか否かについて分析を行う必要があります。

石綿の基礎知識
 石綿は一般に「いしわた」「せきめん」「アスベスト」と呼ばれる、繊維状の鉱物の総称です。
 日本が2005年8月11日批准登録した国際労働基準(ILO)条約1986年の石綿条約(第162号 正式名:石綿の使用における安全に関する条約)に「石綿」は次のようにある。。
『「石綿」とは、繊維状のケイ酸塩鉱物で、蛇紋石族の造岩鉱物に属するクリソタイル(白石綿)と角閃石族の造岩鉱物に属するアクチノライト(緑閃石)、アモサイト(茶石綿)、アンソフィライト(直閃石)、クロシドライト(青石綿)、トレモライト(透閃石)およびこれらの混合物をいう。』とある。
(a) the term asbestos means the fibrous form of mineral silicates belonging to rock-forming minerals of the serpentine group, i.e. chrysotile (white asbestos), and of the amphibole group, i.e. actinolite, amosite (brown asbestos, cummingtonite-grunerite), anthophyllite, crocidolite (blue asbestos), tremolite, or any mixture containing one or more of these;
 使用されている石綿の大部分が蛇紋石族のクリソタイルで主要化学組成は酸化ケイ素と酸化マグネシウムからなる含水塩鉱物です。角閃石族は5種類あり主要化学組成は酸化ケイ素と酸化マグネシウムの外に酸化鉄、酸化カルシウム、酸化ナトリウム等を含む含水塩鉱物となる。
 石綿の物性は軽くて丈夫で、不燃、耐熱性、紡織性、絶縁性、耐薬品性、耐腐食性、耐久性、繊維方向への高抗張力、耐摩擦性、親和性、経済性にも優れている等の特性があり、多くの業種で使用されていた。
 身近なところでは装飾品にも使われる虎目石や鷹目石は角閃石の一種で、石綿の繊維状結晶が酸化ケイ素等の透明な固体でギッチリ固定されており、飛散性もなく安全と言われている。

国際労働機関ILO駐日事務所
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/index.htm
1986年の石綿条約(第162号)
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/standards/c162.htm
1986年の石綿勧告(第172号)
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/standards/r172.htm



石綿による健康障害
 石綿の粒子は大変小さいため一般の粉じんに比べ肺の奥まで入り込み性質がある。また、繊維状で先端が尖っていて細胞等を傷つける。化学的にも物理的にも安定で体内で分解されない。従って、一旦体内に入るとなかなか排出されない。
 石綿関連の肺の病気は石綿肺(塵肺の一種)、肺ガン、中皮腫、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚等がある、また過去に石綿を吸入したことのある所見には胸膜プラークや石綿小体が重要となる。
 石綿肺はびまん性間質性肺繊維症であり通常石綿ばく露から10年以上後に初期の症状が現れるが、高濃度のばく露であれば10年未満のばく露期間でも発症する。
 肺ガンは通常石綿ばく露から20〜40年の潜伏期間の後に発症し、石綿のばく露量が多い程肺ガンのリスクが高くなる。喫煙と石綿のばく露を受けると相乗的にリスクが高くなる。
 石綿関連の疾患は呼吸器系疾患及び腹膜中皮腫があり、中皮細胞由来の腹膜に発生する悪性の腫瘍で石綿被爆から30〜50年で発生し根治的治療が無く5年以上の生存率が極めて低いため恐れられている。

アスベスト・じん肺支援福井センター
http://asfu.jp



石綿含有製品
 石綿含有製品は大きく分けて石綿工業製品と建材製品に分けられ、大部分の石綿は建材製品に利用されている。
 健康被害で問題となる石綿は飛散性のある状態で存在する石綿で、非飛散性の石綿は表面の保護面を壊したり劣化が進まない限り特別に怖がる必要は無いと考えられる。



石綿障害予防規則に定められた石綿関連用語の意義
 石綿障害予防規則
(定義) 第二条  この省令において「石綿等」とは、労働安全衛生法施行令 (以下「令」という。)第六条第二十三号 に規定する石綿等をいう。
・労働安全衛生法施行令(昭和四十七年八月十九日政令第三百十八号) 「第六条第二十三号」
二十三  石綿若しくは石綿をその重量の〇・一パーセントを超えて含有する製剤その他の物(以下「石綿等」という。)を取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業を除く。)又は石綿等を試験研究のため製造する作業

石綿障害予防規則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H17/H17F19001000021.html
労働安全衛生法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47HO057.html
労働安全衛生法施行令
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47SE318.html



石綿関連の解体作業の分類
 建築物の解体等における石綿のばく露防止対策としては作業レベルに応じてレベル1から3に分類される。
 レベル1の作業は著しく発じん量の多い作業で、厳重なばく露防止対策が要求されるもので、石綿含有の吹付け材の解体等がこれにあたる。レベル1の使用箇所の例1としては建築基準法の耐火建築物で3階以上や200u以上の鉄骨構造の建築物等の鉄骨、梁、柱等に石綿含有の耐火吹付被服膜として使用されているものである。例1の被服は昭和38年頃から昭和50年頃までの建物に多いが、エレベーター周り等には昭和63年頃まで使用されて例がある。レベル1の使用箇所の例2としては建築物内の機械、ボイラー、電気室、校舎、体育館、工場等の天井、壁に吸音、断熱、結露防止用の石綿含有の吹付被服膜として使用されているものである。例2の被服は昭和31年頃から昭和50年頃までの建物に多い。
 レベル2の作業は比重が小さく、発じんしやすい製品の除去作業で、レベル1に準じて高いレベルのばく露防止対策が要求されるもので、石綿含有の保温材、耐火被覆材、断熱材の解体等がこれにあたる。レベル2の使用箇所の例としてはボイラーの本体、配管、空調ダクト等への石綿含有保温材、柱、梁、壁等への石綿含有耐火被覆材、屋根用折版裏断熱材や煙突用断熱材の使用等がある。
 レベル3の作業は発じん性の比較的低い作業であるが、破砕、切断等の作業には発じんが伴うので湿式作業を原則とし発じんレベルに応じマスク等の使用が要求されるもので、石綿含有の成型版等の解体等がこれにあたる。レベル3の使用箇所の例としては建築物の天井、壁、床等にはり付けられている石綿含有の成型版やビニル床タイル等や屋根用の石綿含有屋根材、スレート材等が使用例である。


不動産価格と石綿
 前述の石綿含有製品の内、大部分の石綿は建材製品に利用されている。現在では建物内の石綿が飛散性のある状態で存在する事はほとんど考えられないが、非飛散性の石綿含有建材が建物内に使用されているが散見される。
 不動産、特に建物及び、複合不動産の価格に影響を及ぼす石綿関連の因子の中に、建物の修繕、解体時に想定される石綿関連の除去撤去費用の増加が考えられる。
 不動産の価格に影響を及ぼすものの中に風評も存在する。



建築物内の石綿調査
 弊社では不動産鑑定業、宅地建物取引業、補償コンサルタント業に関連する不動産の調査を行います。
  建物等の調査は建物の石綿関連建物解体調査等の事前調査に準じて対応します。
 石綿関連調査の流れ
 1.事前調査打ち合わせ
   依頼者等より基礎資料の御提示をお願いします。
 2.調査基本事項の決定
   調査基本報酬額の並びに追加報酬額の概算の御提示
 3.第1次スクリーニング(書面調査)
    設計図書等の調査(施工記録、維持管理保全の記録等)
    使用建築材料の種類、施行時期、使用建築材料の製造年の調査
    使用建築材料の使用部位の調査
 4.第2次スクリーニング(現場確認)
    現場調査(使用資材の確認)
    資料採取
 5.分析−確定



吹付け材の第1次スクリーニング(書面調査)
 吹付け部位は概ね次の場所に使用されている可能性がある。
 鉄骨造の鉄骨の梁、柱、床、空調室、ボイラー室、機械室等並びに鉄骨(・鉄筋)コンクリート造、鉄筋コンクリート造の空調室、ボイラー室、機械室、駐車場等です。
 また、建築物等の竣工年と設計図書に記載されている使用建築材料の商品名からある程度判定できます。
(吹付けアスベストの商品名)
@ブロベスト、(Aオパベストは削除)、BサーモテックスA、Cトムレックス、
Dリンペット、Eノザワコーベックス、Fヘイワレックス、Gスターレックス
※これらの材料は昭和49年(1974)以前に施工中止されている。
 トムレックスは吹き付けを意味する事で使用される場合があるので昭和50年(1975)以降の設計図書にある場合は施工材料、石綿含有の確認が必要となる。
(アスベストを含有する吹付けロックウールの商品名)
@スプレーテックス、Aスプレエース、Bスプレイクラフト、Cサーモテックス
Dニッカウール(昭和62 年12 月 大臣指定取り消し)、EブロベストR、Fヘイワレックス
G浅野ダイアロック(昭和50 年10 月 大臣指定取り消し)、Hノザワコーベックス−R
Iアサノスプレーコート、Jスターレックス(昭和57 年7 月 大臣指定取り消し)
KオパベストR、Lバルカロック、Mベリーコート、Nタイカレックス
※これらの材料は昭和55年(1980)以前に施工中止されている。
 昭和55年(1980)以前の施工でも含まれない場合もある。
 スプレーテックスのカラー用は昭和62年まで石綿が使用されているので注意を要する。
(アスベストを含有する湿式吹付け材の商品名)
@トムウェット、Aバルカーウェット、Bブロベストウェット
Cアサノスプレーコートウェット
※これらの材料は昭和63年(1988)以前に施工中止されている。
 昭和63年(1988)以前の施工でも含まれない場合もある。
 アサノスプレーウェットは生産量は少ないが平成元年まで石綿が使用されているので注意を要する。
(アスベストを含有する吹付けバーミュキュライト材の商品名)
バーミライト、ミクライト、ウォールコートM折版用
※これらの材料の使用時期は不明である。
(アスベストを含有する吹付けパーライト材の商品名)
アロック、ダンコートF
※これらの材料の使用時期は不明である。
(その他アスベストを含有する吹付け材の商品名)
ケニテックス、ひる石プラスター
※これらの材料の使用時期は不明である。

社団法人日本石綿協会 石綿含有建築材料の商品名と製造時期
http://www.jaasc.or.jp/other/ganyu_06.pdf
国土交通省・石綿(アスベスト)含有建材データベースについて
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/07/071213_.html



保温材の第1次スクリーニング(書面調査)
 保温材の所在部位は保温、断熱の用途が主で工作物本体、配管経路等に使用されている。
 プラント、ボイラー、タービン等及び配管の保温・断熱に使用されているが、メンテナンス時に材料の変更や使用の廃止がなされている可能性もあるので注意する。
 石綿保温剤、旧JISA9502、1914〜1980製造
 けいそう土保温剤、、旧JISA9503、1890〜1955製造
 パーライト保温剤、旧JISA9512、1961〜1980製造
 石綿ケイ酸カルシウム保温剤、旧JISA9510、1951〜1980製造
 水練り保温剤は昭和63年頃まで用いられた。


成形板形成材吹付け材の第1次スクリーニング(書面調査)

建築物の解体工事等における参考資料(アスベスト等)
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/fukusanbutsu/asbest/index.html
社団法人日本石綿協会
http://www.jaasc.or.jp/
石綿作業主任者テキスト(編者 中央労働災害防止協会)


厚生労働省発表 平成18年6月26日(月)

厚生労働省発表 平成18年6月26日(月)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/06/h0626-1.html
「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱」及び「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令案要綱」についての労働政策審議会に対する諮問および同日、同審議会から厚生労働大臣に対して答申があり、厚生労働省では、これらの答申を受け、今後、労働安全衛生法施行令、石綿障害予防規則等の改正を行い、平成18年9月1日から施行する予定である。
なお、改正の概要は石綿等の製造等の禁止・規制の対象範囲の拡大「1%を超えて含有するもの」から「0.1%を超えて含有するもの」とすることとする 等があり、かなりの規制強化となる予定。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/06/h0626-1c.html


工事中

細心の注意を払って作成した資料等ですが、ご利用の節は自己の責任でお使い下さい。
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