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セミナー題名10


今回のテーマは危険な頭痛の見分け方

 01  頭蓋内に原因のある頭痛
 02  頭蓋内に原因のないもの
 03  一般的な頭痛
 04  悪化の防止
 05  危険な頭痛のサイン

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 01  頭蓋内に原因のある頭痛
 1.  クモ膜下出血
 2.  高血圧性脳出血
 3.  脳梗塞
 4.  脳腫瘍
 5.  慢性硬膜下血腫
 6.  感染(脳炎・髄膜炎など)
 解説ボタン 解説
 1)  クモ膜下出血 
    クモ膜と脳の間のスペース(クモ膜下腔)に出血した状態。 外傷以外では脳動脈瘤による出血が殆どです。 突然激しい頭痛が生じ『突然ハンマーで殴られた様な痛み』と表現されたりします。 脳動脈瘤破裂は死亡率も高く、救急車搬送の対象です。
 2)  高血圧性脳出血 
    高血圧のため、脳深部にある細い動脈が破れ出血します。 出血の大きさにもよりますが、通常激しい頭痛を生じます。 片側の手足の動きが悪くなる片麻痺を伴っていることが多く、早急な治療を要します。
 3)  脳梗塞  
    通常の脳梗塞では頭痛は生じません。 広い範囲で脳梗塞が起きると頭痛の原因となることがりますが、この場合一般的には意識障害を伴っており、尋常な状態ではないことは一目で分かります。 勿論緊急事態です。
 4)  脳腫瘍  
    一般的には、悪性脳腫瘍では周囲の脳に腫れ(脳浮腫)を生じ頭痛を伴うことが多く、良性の場合は何らかの他症状(片麻痺や言語障害など)が出現しても頭痛がないことがあります。 いずれにしても軽度から中等度の頭痛があることが多いので、気になる症状を伴っているようであれば早めに専門医を受診した方が懸命です。
 5)  慢性硬膜下血腫  
    硬膜とクモ膜の間のスペースに血腫(血液の塊)が形成された状態です。 通常このスペースは広くありませんが、高齢になると脳の萎縮によりこのスペースが広がり、軽微な外傷(壁に頭をぶつけたなど)が原因で小さな出血を生じ、これが時間をかけて(1〜2ヶ月)徐々に大きな血腫となり、脳を圧迫するようになります。症状は、痴呆様の症状が主ですが、軽度の頭痛を伴うことも多々あります。 早めに脳神経外科を受診し、治療を受けるべきです(比較的簡単な手術で殆どの方が元の状態に戻ります。)
 6)  感染(脳炎・髄膜炎など)  
    頭蓋内に細菌やウィルスが侵入し、感染を生じると脳炎や髄膜炎になります。 脳炎では発熱とともに激しい頭痛が生じ、やがて意識障害が生じてきます。 早急に治療を開始しなければならない状態です。 髄膜炎では軽症から重症のものまでありますが、激しい頭痛と発熱が生じます。解熱剤を使用して解熱しても頭痛が続くようであれば、髄膜炎の可能性があります。

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 02  頭蓋内に原因のないもの
 1.  片頭痛
 2.  筋収縮性頭痛(緊張性頭痛)
 3.  群発性頭痛
 4.  緊張性━血管性頭痛
 5.  後頭神経痛
 6.  三叉神経痛
 7.  その他(発熱・高血圧・副鼻腔炎・緑内障など)
 解説ボタン 解説
 1)  片頭痛(血管性頭痛)
     後述
 2)  筋収縮性頭痛(筋緊張性頭痛)
     後述
 3)  群発性頭痛
    主として男性に見られます。 一側の眼の奥及び眼の周りに激しい持続性の痛みが2時間程続き、『燃えるような』あるいは『刺すような』痛みと表現されます。 年に1〜2回程度の発作頻度であることが多く、頭痛と同時に頭痛側の眼の充血・流涙・一側のまたは両側の鼻閉や鼻汁などが出現します。
 4)  緊張性‐血管性頭痛
     後述
 5)  後頭神経痛
    後頭部の皮膚に分布する神経の神経痛で後頭部領域の『ピリッ』とした痛みが数秒間続きます。 多くは原因不明ですが、頸部脊椎病変や通風などが原因となる場合もあります。
 6)  三叉神経痛
    顔面の知覚を脳に伝える神経が三叉神経です。 この神経が過敏状態になるのが三叉神経痛です。三叉神経はその名の通り三つの神経からなり、第T枝は眼周囲及び額、第U枝は上顎、第V枝は下顎の知覚を脳に伝えています。 この内第T枝領域の痛みは頭痛として自覚されることも多いのです。 頭蓋内に原因の無い頭痛として分類しましたが、実はその原因の殆どは頭蓋内の血管が三叉神経を圧迫することによって生じています。
 7)  その他(発熱・高血圧・副鼻腔炎・緑内障など)
    発熱では頭皮の血管が拡張し、拍動性の頭痛を生じることがあります。 高血圧単独では頭痛の原因となることは少ないのですが、頚椎病変や他の原因による頭痛を増大させることがあります。 さらに副鼻腔炎では前頭部から眼周囲の頭痛を生じることがあります。 緑内障でも眼圧の上昇に伴い、前頭部を中心とした激しい頭痛を生じることがあります(多くは眼痛を伴いますが、自覚されないこともあります)。通常、何らかの視力・視野異常を伴います。

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 03  一般的な頭痛
 1.  筋収縮性(緊張性)頭痛
    後頭部〜側頭部の持続する重たい感じの痛み、あるいは一瞬ズキンと痛むが数十秒から数分間後痛みが和らぐ
 2.  片頭痛
    側頭部あるいは後頭部にある皮膚の血管が異常な拡張をすることにより生じる頭痛、血管の拍動に合わせてズキンズキンとした痛みが、数分〜数十分続き、吐き気・嘔吐を伴いやすい
 3.  混合型頭痛
   
 筋収縮性頭痛   ← 頚椎病変・変形
作業姿勢(パソコンうつ向き作業など)
 矢印(下)  悪化
   
精神的ストレス・その他の要因
   
 片頭痛    
 解説ボタン 解説
 1)  筋収縮性(緊張性)頭痛
    頭蓋骨は、肩や背中から連続する筋肉によって後頭部から頭頂部まで覆われています。 これらの筋肉はさらに薄い腱膜となって前頭部にまで達しています。 また側頭部は咬筋から連続する側頭筋に覆われています。 これらの筋肉が何らかの原因で緊張度が高まったり、収縮したりすることで生じる頭痛が筋収縮性頭痛です。重たいような鈍い感じの痛み、あるいは一瞬『ズキン』とするような痛みが数十秒から数分間続きます。
 2)  片頭痛
     頭皮には多くの血管が分布しています(このため頭皮の傷では体の他の部位と比較して同程度の傷でも大出血になり易い)。 なかでも側頭部と後頭部には太い血管があり、これが収縮後異常な拡張をすることにより頭痛が生じます。 血管の拍動に合わせて『ズキンズキン』とした痛みが数分〜数十分続き、吐気・嘔吐を伴うこともあります。 多くは遺伝性があり、10才前後から発症する人もいます。 実はこの血管の収縮・拡張が頭痛の前あるいは後で生じることがあります。 星が瞬くような光が視野の一部に見えたり、視野の一部が見えにくくなったりします。
 3)  混合型頭痛(緊張性‐血管性頭痛)
     頭痛の多くは、筋収縮頭痛や片麻痺単独ではなく、両方が混在した形ものです。一人の人にそれぞれが単独でまったく無関係に生じてくることもありますが、多くは筋収縮性頭痛から片頭痛へと移行していきます。 さらに筋収縮性頭痛の原因となり易いのが、頚椎椎間板ヘルニアや頚椎変形などの頚椎疾患です。 慢性的な頭痛が続きながら改善しない場合は、頚椎の検査も受けてみるべきです。 また、パソコン作業や細かい手作業でうつむきを強いられる場合も原因になります。 さらに精神的ストレスや目の疲れも筋収縮性ずつうを誘発します。

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 04  悪化の防止
 1.  就寝姿勢の工夫
 2.  作業中の小休止
 3.  後頭筋群のマッサージ
 4.  ストレス発散
 解説ボタン 解説
 1)  就寝姿勢の工夫
    うつ伏せ寝や極端に首が屈曲・伸展した状態での就寝は首の後ろにある筋肉(後頭筋群)の緊張度を高めます。なるべく首を自然な形(まっすぐか軽く前後左右に曲がる程度)保てるように枕などで工夫します。
 2)  作業中の小休止
    根をつめて前傾姿勢で作業を続けるのではなく、数十秒の間だけでも背筋から首を伸ばした姿勢を維持します。
 3)  後頚筋群のマッサージ
     筋肉は冷えると緊張度が高まります。入浴の時など(シャワーでも可)お湯をあてて数十秒間後頚部をマッサージします。
 4)  ストレス発散
     精神的ストレスの発散法には個人差があります。適度な運動や飲酒でも筋肉の緊張度低下に役立ちます。個々人に合った発散法を見つけていくべきです。

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 05  危険な頭痛のサイン
 1. 急激な高血圧を伴うもの(収縮期血圧180oHg以上)
脳出血・脳梗塞・クモ膜下出血の可能性あり
 2.  失神後の激しい頭痛
クモ膜下出血・脳出血の可能性あり
 3. 手足のしびれ感を伴う頭痛
脳出血・脳梗塞・頚椎椎間板ヘルニアの可能性あり
 解説ボタン 解説
 1)  急激な高血圧を伴うもの(収縮期血圧180mmHg以上)
     それまで正常な血圧を保っていたのに、頭痛とともに血圧上昇が出現した場合は、要注意です。 頭蓋内にある一定以上の大きさのものが急に出現した場合(出血や梗塞など)頭蓋骨内の圧力が上昇します。 この時、正常に保たれている脳では血液が不足します(脳に流れ込む血液量は(血圧)−(頭蓋内圧)に比例するから)。 このため脳は一定以上の血液を得られるように自律神経を介して血圧を上昇させます。 このため急激な血圧上昇が生じるのです。 通常の降圧剤や安定剤を使用しても血圧が低下しない場合は、頭痛以外の症状がなくとも、CTやMRIなどの検査を受けた方が無難です。
 2)  失神後の激しい頭痛
     クモ膜下出血や脳出血の一部では、出血後に一時的な意識消失(失神)を生じます。 小出血の場合は殆ど血圧上昇が見られない場合もあり、精査が必要です。
 3)  手足のしびれ感を伴う頭痛
     脳出血は手足の運動や知覚を伝える神経の通り道の近くに生じることが多く、頭痛に片側の手と足のしびれ感、あるいは麻痺がある場合は、その存在が強く疑われます。 脳梗塞では、通常頭痛を伴いません。 しかし、広い範囲の梗塞や出血を伴うもの(出血性脳梗塞)では、頭痛が生じる場合があります。 大梗塞の場合、数時間で意識障害まで生じてしまいますので、手足のしびれる範囲が徐々に広がっていったり、麻痺を生じてくるようであれば、早急に医療機関を受診する必要があります。 頚椎椎間板ヘルニアやその他の頚椎病変では、後頭部痛とともに片側上肢のしびれ感、痛み、麻痺を生じてくることがあります。 適切な治療を受けないと症状が悪化してくる可能性がありますので注意が必要です。


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