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題名10-1


今回のテーマは、メタボリックシンドロームと脳梗塞

 01  メタボリックシンドロームとは?
 02  メタボリックシンドロームの診断基準
 03  メタボリックシンドロームの頻度
 04  虚血性心疾患・脳梗塞に対するリスク
 05  発生機序
 06  運動療法
 07  食事療法
 08  脳梗塞予防のために必要な検査

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 01  メタボリックシンドロームとは?
 1.  内臓肥満を基礎・背景として糖質・脂質の代謝異常あるいは、高血圧を併せ持つ病態
 2.  虚血性心疾患や脳梗塞を発症する危険率が2~3倍高くなる
 解説ボタン 解説
メタボリックシンドロームは、内臓肥満に糖尿病や高中性脂肪・高血圧が複数合併した状態です。 高血圧や糖尿病の患者で意外に心臓や脳の血管の障害を持たないグループが存在することは以前から知られていました。逆に高度の障害を持つグループも存在し、高血圧や糖尿病に肥満や高中性脂肪が加わると、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞などの合併症が多くなることも分かってきました。ここからメタボリックシンドロームという概念が生まれてきたのです。

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 02  診断基準
 1.  呼気終末・臍周囲径
     男 ≧ 85㎝、  女 ≧ 90㎝
     *内臓脂肪量は、男女とも≧100?
 2.  高血圧(収)≧130㎜hg かつ/または(拡)≧85㎜hg
 3.  空腹時血糖値 ≧110㎎/dl
 4.  脂質、中性脂肪 ≧150㎎/dl かつ/またはHDLコレステロール<40㎎/dl
   ①+②~④のうちの2項目の該当があれば、メタボリックシンドロームと診断。
   *②~④で薬剤治療を受けていれば、その項目は満たすものと判断する。
 解説ボタン 解説
まず、臍囲を測りますが、立位で臍を起点として呼気終末(息を吐き終わった時点)で計測することが大切です。 男性では85㎝以上、女性では90㎝以上の時に内臓脂肪がCT計測上の100c㎡を超えていることが多く、内臓脂肪が蓄積していると判断します。呼気の時に測ると10~20%高めになるので注意が必要です。 また、腹囲を測るよりCTでの計測が正確です。

この内臓脂肪蓄積(内臓肥満)に加えて①高血圧(収縮期血圧130㎜Hg以上あるいは拡張期血圧85㎜Hg以上)②空腹時血糖110㎎/dl以上③高中性脂肪(150㎎/dl以上)またはHDLコレステロール低値(40㎎/dl未満)の①~③のうちの二つがあればメタボリックシンドロームと診断されます。

*HDLコレステロールは、いわゆる善玉コレステロールで動脈硬化を抑制する働きがあります。

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 03  メタボリックシンドロームの頻度
   男  女
 30代 7.4% 0.6%
 40代 16.5% 4.0%
 50代 22.1% 6.2%
 60代 27.4% 141%
 70代 34.4% 18.8%
平成16年 国民健康調査 

・国際現在の腹囲測定基準での日本人の有病率 男=26.4% 女=12.4%

・国際糖尿病学会のアジア人メタボリックシンドローム基準(男90㎝以上、女80㎝以上)では、男=12.4% 女=18.2%
 解説ボタン 解説
メタボリックシンドロームと診断される割合(有病率)は年令とともに増加する。 現在の日本の腹囲測定基準では年令を平均すると男性26.4%、女性12.4%となる。しかしこれを国際糖尿病基準学会アジア人メタボリックシンドローム基準の腹囲にあてはめると(男性90㎝以上、女性80㎝以上)有病率は男性12.4%、女性18.2%となります。現在の日本メタボリックシンドローム診断基準は日本動脈硬化学会など国内8学会で作成されましたが、腹囲基準に関しては、今後変更される可能性があります。

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 04  虚血性心疾患・脳梗塞に対するリスク
喫煙・糖尿病・高血圧・メタボリックシンドロームは、それぞれ虚血性心疾患、脳梗塞発症の危険性を2~3倍高めると言われる。
 
 仮に2倍とすると相乗効果によりリスクは佐図のようになる。
 解説ボタン 解説
メタボリックシンドロームでは虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞など)、脳梗塞を発症する危険性が2~3倍に増加しますが、喫煙・糖尿病・高血圧などもそれぞれ危険性を2~3倍増加させます。仮に2倍とすると高血圧・糖尿病・喫煙・メタボリックシンドロームの4つを持つ場合、その危険性は2×2×2×2で16倍になります。

メタボリックシンドロームは、糖尿病や高血圧を含むものではなく、あくまでも一つの病態あるいは疾患だということを認識する必要があります。

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 05  発生機序
 ・ 人体内に余分に摂取されたエネルギーは、脂肪細胞(特に内臓脂肪)、肝臓、骨格筋に中性脂肪として蓄積される。
 ・ 肥満になると脂肪内組織にある脂肪細胞が肥大化し、アディポサイトカイン分泌が増大。
 ・ インスリンの骨格筋や肝臓での働きを阻害する(インスリン抵抗性)
 ・ インスリン抵抗性の増大が、糖尿病・高脂血症・高血圧を発症あるいは悪化させる。
 解説ボタン 解説
食物としての人体内に余分に摂取されたエネルギーは、脂肪細胞(特に内臓脂肪)、肝臓、骨格筋に中性脂肪として蓄積されます。脂肪組織内ある脂肪細胞の数が増してくるとともに脂肪細胞の一つ一つが肥大化していきます。

一方、血液中のブドウ糖(血糖)を低下させる働きをもつインスリンは、骨格筋や肝臓での血糖取り込みを促進しています。肥大化した脂肪細胞からは盛んにアディポサイトカインという物質が分泌され、インスリンの働きを阻害するようになります。このため血液中に十分なインスリン量があるにもかかわらず血糖が十分に低下しない状態すなわちインスリン抵抗性が生じます。 

インスリン抵抗性が存在すると血液中の血糖を下げるため、膵臓からさらにインスリンが分泌され、高インスリン血症の状態になります。 これにより糖尿病・高脂血症・高血圧を発症あるいは悪化させる結果になります。


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 06    運動療法
 ・ 内臓肥満の軽減には運動療法が効果的。運動強度は、最大酸素摂取量の50%程度、脈拍数では120/分が目安。 3~5分間運動後、中止して15秒間脈を測る  推定脈拍数=15秒間の脈拍数×4+10 
 ・ 1日の運動時間は、30分以上で200Kcalのエネルギー消費量、1週間で180分以上を目標、最低でも3回/週  肥満者では、関節痛が生じやすく、水中歩行・固定式自転車による自転車漕ぎが良い。  
  解説ボタン 解説
人が運動などでエネルギーを消費する時には、まず血中や骨格筋中のブドウ糖をエネルギー源として消費しますが、運動が20分を超えてくると骨格筋や内臓脂肪に蓄えられた中性脂肪をエネルギー源として活用するようになり、肥大化した脂肪細胞が縮小し、内臓肥満の改善に役立ちます。

運動強度は最大酸素摂取量の50%程度が効果的です。その指標としては脈拍数が簡便で、120回/分が目安になります。 これには個人差があるため、実際に3~5分間運動をして(例えばジョギングなど)中止し、15秒間脈拍を測り、脈拍数を推定します。 15秒間の脈拍数×4+10(これは運動中止中の影響を補正するための数字)で計算します。

運動療法の頻度は前述した理由もあって、30分以上、200Kcalのエネルギー消費量を目標にします。 一週間では、合計180分以上3回/週にします。運動によるインスリン抵抗性改善の効果は2~3日しか持続しないため、3回/週を目標にするのです。 また、肥満者では関節痛が生じやすいため、水中歩行や固定式自転車による自転車漕ぎが適しています。
  


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 07   食事療法
BMI(kg/㎡)25以下を目指して減量に努める。  
 ① エネルギー摂取量 一般的な摂取エネルギー 設定値(25~30kcal/kg標準体重)より低めに設定
 ② 炭水化物:脂質:蛋白質の摂取エネルギー比を5~6:3~2.5:2~1.5にする。
 ③ トランス型脂肪酸食(マーガリン、ビスケット)を控える 
 ④ GI(Glycemic Index:血糖上昇係数)の高い炭水化物(単純糖質、白パン、パンケーキなど)をさけ、GIの低い炭水化物(玄米、胚芽パン、豆類など)摂取を心がける。
 ⑤ 食物繊維は摂取エネルギーやGIを低くする効果があり摂取を心がける
 解説ボタン 解説
エネルギー摂取量は身長から標準体重を割り出し(身長(m)×身長(m)×22)一般的な摂取量(25~30kcal/kg)より低めに設定します。 摂取するエネルギー比は、炭水化物:脂質:蛋白質の比を5~6:3~2.5:2~1.5にするのが一般的です。また、トランス脂肪酸食(マーガリン、ビスケットなど)はLDLコレステロール(悪玉コレステロール、動脈硬化を促進する)を増加させ、HDLコレステロールを低下させるため、摂取を控えます。

炭水化物には食後の高血糖の生じやすさの指標として血糖上昇係数(Glycemic Index:GI)があります。 GIが高いと食後の急な高血糖から高インスリン血症を招き、糖尿病・高脂血症・高血圧を助長します。 このためGIの高い炭水化物(単純糖質(砂糖など)白パン、パンケーキなど)を避け、GIの低い炭水化物(玄米、胚芽パン、豆類など)の摂取を心がけることが大切です。

さらに食物繊維は、満腹感を味わいながら摂取エネルギーやGIを低く抑える効果があり、20~30g/日の摂取を心がけることも大切です。
  


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 08  脳梗塞予防のために必要な検査
 ① 頚部内頚動脈エコー検査 : 動脈硬化の程度を観察し、狭窄の有無を確認します。
 ② 頭部MRI検査 : 脳内のラクナ(小さな脳梗塞)の有無、脳内主要血管狭窄の有無を検査します。
  解説ボタン 解説
脳梗塞の根底にある病態は動脈硬化です。 したがって心臓から出て脳に至るまでの血管を検査することが大切です。

頚部内頚動脈は心臓から脳に血液を送る重要な血管で、超音波エコーを用いた検査で動脈硬化の程度や血管の狭窄の程度を観察することが出来ます。

頭部MRI検査では、脳内のラクナ(小さな脳梗塞)の有無や脳内主要血管狭窄の有無を確認することで脳梗塞発症の危険性をある程度予測し、予防に役立てることが出来ます。

メタボリックシンドロームでは動脈硬化が進行することで脳梗塞や虚血性心疾患の危険性が増大します。 脳のみならず、心臓や他の臓器の血管系の検査も有用と考えていいと思います。
 


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