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第20回
 『認知症とまぎらわしい脳の病気』


                               平成30年10月13


 
 認知症の有病率は7〜10%と言われています。
特に、85歳では30%、それ以上では40%以上になると言われています。一方、認知症と似かよった症状となる病気もあり注意が必要です。
 今回は、それらのうち、代表的な脳の病気について解説します。


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 認知症とは? 

脳疾患による症候群であり、通常は慢性あるいは進行性である。

 
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  認知症は、生後いったん正常に発達した種々の精神機能が、慢性的に減退・消失することで日常生活・社会生活を営めない状態と定義されています。
具体的には、記憶力低下・見当識障害・理解力低下などの症状が出現します。

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認知症の疾患別内訳
l
アルツハイマー型認知症
    50〜65%
l血管性認知症           10〜20%
lLewy 小体型認知症       4〜15%
l前頭葉側頭葉変性症      1〜2.5%
l混合型                5〜10%
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 認知症の原因となる疾患は、多い順に、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レヴィー小体型認知症、前頭葉・側頭葉変性症、それらの混合型になります。 アルツハイマー型認知症では、何らかの原因で神経細胞内にアミロイドβ-蛋白が蓄積し、神経細胞が傷害されて、発症してきます。
 
血管性認知症では、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血などの脳血管障害を原因として、認知機能が低下してきます。基本的には、脳の広い範囲が障害されるか、認知機能に重要な役割をもつ脳部位が障害されることで生じてきます。
 
レヴィー小体型認知症では、認知機能低下に加えて、早い時期から幻視や歩行障害や手足のふるえなどのパーキンソン症状を合併する疾患です。
 
前頭葉側頭葉変性症は、前頭葉・側頭葉の委縮により、精神症状を主体として認知機能障害が出現してきます。

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認知症とまぎらわしい脳疾患、あるいは、
治療により症状が回復する可能性がある脳疾患
 ●慢性硬膜下血腫

l ●正常圧水頭症

l ●脳梗塞

 l脳出血
 
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 認知症と紛らわしい疾患は色々ありますが、一般的に多くみられる脳の病気をあげると、慢性硬膜下血腫・正常圧水頭症・脳梗塞・脳出血をあげることができます。
 
慢性硬膜下血腫と正常圧水頭症は、伴に認知機能障害と歩行障害を周囲に指摘されて、来院することが多い疾患です。
 
脳梗塞や脳出血では、一般的には、明らかな脳局所症状(手足の麻痺や言語障害)出現があり、数日〜数週かけて認知機能低下が明らかになってきます。しかし、脳局所症状がなく、数時間〜数日かけて、認知機能低下のみが出現してくる場合があり、注意が必要です。

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 慢性硬膜下血腫 

 軽微な頭部外傷後に、数週間かけて硬膜下に血液が貯留した状態。
 脳が圧迫されることにより症状が出現するが、
認知機能の低下のみが目立ち、認知症と間違われる事がある。

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 慢性硬膜下血腫では、本人が覚えていない程度の軽微な頭部打撲後でも、徐々に硬膜下に血腫が形成され、脳が圧迫されることにより、頭痛・手足の麻痺が出現してきます。しかし高齢者では、認知機能低下のみが目立ち、手足の麻痺は周囲の人から見れば軽度の歩行障害があると認識される程度の事が多く見られます。手術治療により、90%以上の確率で発症前の状態に戻ります。

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 正常圧水頭症 

 髄液の正常な流れが阻害され、脳室内に過剰な髄液が貯留した状態。
 脳腫瘍や出血などが原因の場合と違い、脳室内圧は正常である。周囲脳の圧迫により、歩行障害・認知障害・排尿障害を生じる。


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 正常圧水頭症は、歩行障害・認知機能障害・排尿障害の順に症状が出現してきますが、何らかの原因で歩行に障害がある場合、数ヶ月かけて出現してくる認知機能低下が主症状の事があります。脳内に過剰に貯留した脳脊髄液を腹腔内に流れるようにする手術(シャント手術)で、程度の差はありますが、症状は改善します。

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 脳梗塞 
 
 認知機能に関連する部分の脳梗塞により、
急性に認知機能障害が生じてくる事がある。
 治療により、ある程度回復するが、次第に認知症に移行していく事が多い。

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 認知機能に重要な働きがある脳部位に脳梗塞を生じると、急性に認知機能障害が生じてきます。特に、視床や角回などが有名で、これらの部位の脳梗塞では治療により、ある程度の回復はするものの、認知機能障害が残存する確率が高くなります。しかし、これらとは別の部位の脳梗塞で、脳局所症状を伴わない脳梗塞もあり、注意が必要です。このような部位では治療により、かなりの確率で症状は改善しますが、治療開始が遅れると、脳梗塞が進行して他の症状まで出現してしまう事があり、注意が必要です。

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 脳出血 

 脳出血では、通常、頭痛・片麻痺などの症状があり、その後、数週から数ヵ月後に認知機能低下が目立つようになる。
 しかし、言葉に関連した部位に出血が生じた場合、認知症と間違われる事がある。

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 脳出血では、頭痛に伴って、意識障害・手足の麻痺・言語障害などが出現する事が一般的ですが、側頭葉の一部や角回などの言語や認知機能に関連する脳部位に出血を生じると認知症と間違われる場合があります。
 脳出血急性期では、適切な血圧コントロールが重要で、見逃すと、出血が拡大してしまう恐れがあります。。

 認知機能障害は出血の消退とともに徐々に改善しますが、ある程度残存する事が多いものです。

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 まとめ 

急激に認知機能障害が出現してきた場合、治療により症状が改善する疾患である可能性があり、
頭MRI検査を実施することが重要である。
 
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