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映画雑文
アルビノ・アリゲーター
ALBINO ALLIGATOR
監督■ケビン・スペイシー
脚本■クリスチャン・フォルテ
出演■マット・ディロン/ゲイリー・シニーズ/フェイ・ダナウェイ
1996 アメリカ 97分


ケビン・スペイシーが初監督をつとめた作品で、くせ者男優陣が揃っているのですが、何といってもフェイ・ダナウェイの存在ははずせないでしょう。
彼女がいなければこの作品は成立しません!

フェイ・ダナウェイ


 主な出演作:俺達に明日はない/華麗なる賭け/小さな巨人/ドク・ホリディ/パリは霧にぬれて/タワーリング・インフェルノ/チャイナタウン/コンドル/ネットワーク/アイズ/チャンプ/スパーガール/バーフライ/侍女の物語(闇の聖母 侍女の物語)/ギャンブル 愛と復讐の賭け/ムーンリットナイト/アリゾナ・ドリーム/派遣秘書/ドンファン/チェンバー 凍った絆

アメリカ・ニューシネマの代表的女優といわれ、知的でゴージャス、美しいだけじゃなくて意志の強さを感じさせる個性がステキです。


「タワーリング・インフェルノ」(1974)は、私にとってちょっと思い出のある映画なんです。
当時、自宅のすぐそばのバス通りに映画の大広告板が設置されることになり、その記念すべき第1作目がこの「タワーリング・インフェルノ」でした。

自宅からその通りまではかなり急な上り坂になっていて、ズンズンと上って行くにつれ、丁度正面にズンズンと広告板が見えてくるのです。
学校の行き帰りに毎日この大(!)広告を見るわけで、大スペクタクル・パニック映画、さらにオールスター・キャストということもあり、「すごいなぁ、みたいな〜」と日々洗脳されていましたね。
今でもその絵はハッキリと憶えています。(その懐かしの大広告板は既に撤去されてしまいましたが…)

当然、映画館へ出かけました。
今観ても面白いと思うのですが、人生で最も多感な時期に経験したあの迫力は忘れられません!

そしてもう一つ忘れられない理由は、とてもハラハラするあるシーンがあって(それでよく憶えていたのですが、これは私の楽しみだからナイショね)、その後何度かTVで放送されるたびに、「そうよ、この後、この後」と映画館で観たときと同じ感動を期待して待っていた次の瞬間、

「……………」。

違うんです、前に観たカットと…。
カメラの位置、撮り方が映画館で上映されたそれとぜ〜んぜん違う!

編集されたフィルムのパターンは一つだけではなくて、複数存在するんですね。
今は、映画はそういうものだと理解していますが、その時は目がテン状態でした、はは。
ビデオは未見ですが、3種類のパターンは確認しています。
TVで放送するときは、これはAパターン、これはBパターン…と、ストーリーとは関係ないところで楽しんだりして…。

皆さんは、こんな経験をしたことありませんか?

あれ、フェイ・ダナウェイの話でしたよね、おっとっと。

まぁ、それくらい私にとって思い出深い「タワーリング・インフェルノ」に、彼女はポール・ニューマンの恋人役で出演しているのです。
ビルの落成パーティー中の事故ということで彼女は美しいイヴニング姿なのですが、ポール・ニューマンの恋人にふさわしく、我先に逃げ場へと争うパニックに陥った人々の中で、冷静に判断力をめぐらし精神的にタフな女性を演じています。
綺麗なだけじゃダメなのよ、という見本です、ホント。

ところが、ところが、この映画には大御所女優ジェニファー・ジョーンズも出演していて、それも「どうしてあんなイイ人がこんな目に…」と観る人の涙を誘う、と〜てもオイシイ役なのですね。
フレッド・アステアとの熟々年カップルはとても素敵でした。ラストで彼女の形見の猫ちゃんとの再会シーンは涙、涙です。

思い起こせば、私のネコ生活はこの頃から始まったのかもしれません…。

そして、20数年後の本作で見たフェイ・ダナウェイは随分オバサンになっていましたが、やはり変わらず精神的にタフな母親を演じていました。
マット・ディロンとゲイリー・シニーズが犯人役なので男臭くなるのかと思いきや、彼女がストーリーの軸になっているような存在感でした。

犯人達が人質の一人を連れて外に出る計画を立て、その人質に一番年の若い青年を選ぶのですが、フェイ・ダナウェイは執拗に(!)犯人を説得するのです。
「あんな坊やより、私を連れていった方が安全よ。」と…

わざわざメイクを整え、上着を脱いだブラウス姿で年甲斐もなくマット・ディロンに色目を使って…、当然聞き入れられることなく、哀れにさえ見えるのに…。

ラスト近くになってその青年と彼女が親子であることが分かり、やっとその彼女の行動が理解できました。
そう、青年と彼女が親子でなければストーリー全体が意味不明になってしまう、大切な告白でした。

さらにラストの、彼を殺せばお前達を助けてやるという場面で、彼女は言われるままに男を一人射殺してしまうのですが、これも、もし息子が一緒でなければ引き金を引かなかっただろうということは容易に想像できます。

確かに彼女は最初から最後まで、自分の息子を守ることだけを考えていました。
自分の身を投げ出してまでも…。

タイトルの「アルビノ・アリゲーター」とは、”生け贄にされる白いワニ”のことで、染色体異常で生まれてきた白いワニはグループの中で目立つ存在であると同時に格好のオトリにもなる。その白いワニに誘われてやって来た違うグループのワニを待ちかまえて襲い、白いワニは死んでしまうが、同時に敵もいなくなる…、という言い伝えなのだそうです。

果たして誰が”アルビノ・アリゲーター”だったのか?
死んだ彼らは生け贄だったの?
生き残った人間は本当に助かったの?

脚本家は当時25歳だったそうですが、新人に寛大なケビン・スペイシーはその意をくんでフェイ・ダナウェイのキャスティングとなったのかな、と彼女が気になる映画でした。



マット・ディロン

 主な出演作:レベルポイント/リトル・ダーリング/マイ・ボディガード/マット・ディロンの初恋物語/テックス/アウトサイダー/ランブルフィッシュ/フラミンゴ・キッド/ターゲット/レベル 反逆者/ネイティブ・サン/ビッグタウン/ディア・アメリカ 戦場からの手紙/ワンナイト・オブ・ブロードウェイ/カンザス カンザス経由→N・Y行き/ドラッグストア・カウボーイ/死の接吻/イン・ベッド・ウィズ・マドンナ/男が女を愛する時/シングルズ/聖者の眠る街/最高の恋人/誘う女/フランキー・スターライト 世界で一番素敵な恋/ビューティフル・ガールズ/グレイス・オブ・マイ・ハート/アルビノ・アリゲーター/イン&アウト/ワイルドシングス/メリーに首ったけ

決して賢いわけでもないんだけど、まるっきりオツムが弱いわけでもない…、そんな役どころが妙に似合っていました。ゲイリー・シニーズと兄弟を演じていますが、彼の弟役で思い出すのが「ランブル・フィッシュ」(1983)!

兄役のミッキー・ロークがとにかくカッコよかったことと、その色盲の兄の視点をモノクロの映像で表現していて、熱帯魚だけが色つきで…。そのコントラストがとても印象に残っています。
フランシス・F・コッポラ監督の実験的な映像だったんですね。

デニス・ホッパー、ニコラス・ケイジも出演していたことは記憶にない…。
年齢から察するにニコラスくんは不良少年役? 見てみます?



懐かしい映画を思い出して、あちこち話しが飛んでしまいました、の巻。



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