映画雑文 | ||
ディープエンド・オブ・オーシャン THE DEEP END OF THE OCEAN |
監督■ウール・グロスバード 原作■ジャクリン・ミチャード 脚本■スティーヴン・シフ 出演■ミシェル・ファイファー/トリート・ウィリアムズ/ウーピー・ゴールドバーグ/ジョナサン・ジャクソン 1999 アメリカ 108分 劇場で観逃して以来、ずっと気になっていた作品をDVDレンタル。原作は全米ベストセラー小説『青く深く沈んで』(新潮文庫)。 感想としては、もっとジワジワ盛り上がってほしいとこでトントン拍子に話しが進みすぎたように思います。どうやったって“泣く”話しなんだから、家族の葛藤や苦悩、絶望、そして、そこからはい上がる強さと希望!というものを見たいじゃないですか。その辺に不満が残りました。 何があっても最後まで希望を失わずにあきらめないでいて欲しい母親が数週間で「あの子は居ないのよ。」とふて寝の日々、その夫は夫で「2カ月ご無沙汰なんだ。」と妻に迫ったりする。いいのよ、いいのよ、そういう事だってあるさ。でもね、そのドロドロのどん底にいても強い家族の絆があったからこそ、その見えない力が“弟”の住む街へ家族を呼び、また、その家族の元へ“弟”を呼びよせたんじゃないのかなぁ。いきなり“9年後”と時間が飛んだとこから、「あれ?あれー?」と波長が合わなくなりました。 これは、ある〈奇跡の物語〉。奇跡が実現するためには強い誘因が必要じゃないかしら? だって、何も求めない、何も願わないところに起きるミラクルなんて、道ばたでお金拾ってラッキ〜!っていうのと一緒じゃない? でもって、ストーリーの前半部分と、「9年間空白だった家族の絆は元に戻るのか!?」という最大のテーマとの関わりがギクシャクしていたのがとても気になりました。 最も感情移入できたのは、自分のことだけしか見えない両親に対して、誰にも言えない気持ちをグッと独りで抱え込んでいる長男。家族からはぐれてしまったのは、消えてしまった弟ではなく、彼の方なのだと・・・。握っていた弟の手を離してしまったことへの深い悔恨。弟を、家族を愛しているが故に自分に構わない母親や淋しい家庭の中でじっと耐えていた彼。帰ってきた弟が唯一覚えていたのが兄とのかくれんぼの記憶だったなんて、うん、弟もお兄ちゃんに一番感情移入したのかも。作品のスタイルとして、兄の視点から〈人生の危うさ〉と〈困難を乗り越える強さ〉を描くという手法があってもよかったんじゃないかな。 ファイファーは好きな女優ですが、こんな風に母親を前面に出した役は似合わないと思いました。実生活でも良き母・良き妻なのですから、それをウリにするとちょっとウンザリ・・・かな。憔悴しきった役作りのためか、あんなガリガリでシワシワのファイファーは見たくないよな気分です。 それから、ウーピー・ゴールドバーグ演じる刑事の存在意味がよく分からなかった。あの刑事は一体何の役割を持って登場しているの?警察そのものさえ“懸命に捜査した”というニュアンスが全く伝わってこないし、“初動捜査のミス”をしただけ?? と、ツッコミが多くなりましたが、冒頭から涙ボロボロだった私です・・・。フィクションとはいえ、子供が事件に巻き込まれるとホントつらいですね。 |