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映画雑文
フレンチ・カンカン
監督・脚本・台詞■ジャン・ルノワール
出演■ジャン・ギャバン/フランソワーズ・アルヌール
1954、フランス+イタリア)



 ジャン・ルノワール監督没後20年企画で上映された「フレンチ・カンカン」を観てきました。

▲ジャン・ルノワール
 1894年9月15日パリのモンマルトル生まれ。印象派の画家オーギュスト・ルノワールの第二児。弟ピエールは俳優でその息子クロードは撮影監督。哲学と数学を修める。13年より騎兵隊に入り、第一次大戦に参戦。15年よりアルプスの歩兵に移り度々負傷し、足を悪くした。帰郷後、父の絵のモデル、アンドレ・ユーシュリングに恋し、19年に父が他界して間もない翌年に結婚。シュトロハイムの『愚かなる妻』(22)やイヴォン・モスジューヒンの『火花する恋』(23)などを見て、映画に魅了される。監督アルベルト・カヴァルカンティ、俳優アルベール・ディユドンネらと知り合い、妻にカトリーヌ・エスリングという芸名を持たせて彼女の主演短編「カトリーヌ」(24)の脚本を執筆し、ディユドンネの監督で作成。続く「水の娘」では自ら監督し、エミール・ゾラ原作『女優ナナ』(26)で長編に挑むが、負債を負う。以後、幾つかの商業映画で場をしのぐが、前衛的な短編『マッチ売りの少女』(28)を作り、評判となった。ミシェル・シモンと出会い、フェドーの喜劇「坊やに下剤を」(31)の映画化を軽やかにこなした後、一変し「牝犬」(31)で破滅的な愛をリアルに描いて話題となる。以後、シムノン作「十字路の夜」、ルネ・フォショワ作『素晴らしき放浪者』、フレーベール作「ボヴァリー夫人」を次々と映画化。34年マルセル・パニュルの協力により「トニ」を完成し、ネア・リアリズモにも接近。36年はルイ・ジューヴェとギャバンを起用してゴーリキー作『どん底』を映画化し、評判となった。続いて、戦争批判を高らかに謳った『大いなる幻影』、革命を描いた『ラ・マルセイエーズ』と大胆な作品に取り組み、政府から睨まれ、ミルボー作の喜劇『ゲームの規則』などに検閲が入る。続いて、歌劇『トスカ』の映画化のためにイタリアに行くが、戦争の勃発で志なかばで助監督コッホ・ヴィスコンティらに託し、帰国。41年にはNYに渡り、ハリウッドに行き、アメリカ映画を数本監督。戦後インドで『河』、イタリアでアンナ・マニャーニ主演『黄金の馬車』と色彩鮮やかな傑作を放つ。そして、帰国して、この傑作『フレンチ・カンカン』を作り上げた。以来『恋多き女』『草の上の昼食』と華やかで弾むように若々しい作品を廉だ。同時に舞台の演出も始め、《ジュリアス・シーザー》(54)、自作《オルヴェ》(55)、オデッツ作《ビッグ・ナイフ》などを上演。69年のオムニバスのTV映画「ジャン・ルノワールの小劇場」を最後に監督を引退。75年アカデミー賞の栄誉賞を受賞。最晩年には自伝に続き、二冊の小説も執筆したが、79年2月12日ベヴァリー・ヒルズで死去。
 死後、彼の作品への評価は休息に高まり、修復、復元、及び回顧上映などが盛んにとなり、『ゲームの規則』が蘇ったのをはじめ、85年には本作も復元。96年フィルム・センターで「ジャン・ルノワール、映画のすべて」と題した回顧上映が行われた。

「フレンチ・カンカン」パンフレットより


 小ホールでのこぢんまりとした上映で、めちゃくちゃ明るくて悪い人が一人も出てこない、と〜ても楽しいフランス映画でした!
 復元されたというそのフィルムは色彩も美しく、歌手の歌声や口笛の音もとてもクリアに聞くことができました。

 ジャン・ギャバンのその柔らかい物腰と芸に対するシビアな視線は役柄にピッタリという感じで、もう存在感プンプンです。
(しかし、どうしてフランス人のオジサンはいつも若い子にもてるんだろう?フランス映画はこういうカップルが多いですね〜。)

 思い切りスカートをまくり上げて、ヒラヒラの白いペチコートを蝶のように踊らせながら、軽快な音楽に合わせて女の子達が足を振り上げる!
 男達と一緒に「ブラボー!! こっちを向いてよお嬢さん。」と声を掛けたくなるくらいにラストのカンカンは華やかでエンターテイメントあふれる舞台でした。「天国と地獄」…もち論流れていました。
 あまりにも色鮮やかなドレスがまぶしいのと、「どんな場面でも芸人は観客を楽しませるもの」というヒロイン達の気持ちがバンバン伝わってきて、思わず涙が…。
 「踊ることが好き!」……だから舞台へ。
 
 マラソン出場でパリへ行った時、残念ながら「ムーラン・ルージュ」へは行けずじまいでした。夜の治安上の関係で、事前にコーディネーター等へ送り迎えの予約をしないといけないらしいのです。(観光客の場合ね)

 本物のフレンチ・カンカン見てみた〜い!



 ジャン・ギャバンといえば、と夫が かまやつひろしの「ゴロワーズを吸った事があるかい」という唄を教えてくれました。かの有名な「わが良き友よ」のB面に収録された曲で、ムッシュかまやつ作詞作曲のフォーク・ラップのようなもの、だそうです。「名曲だよ。」と言っていました。聞いてみたいな。

 「ゴロワーズというタバコを吸った事があるかい。ほら、ジャン・ギャバンが映画で〜♪」



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