映画roomTOPページ


+-+ CINEMA INDEX +-+

映画雑文
メイド・イン・ホンコン
香港製造
監督・脚本■フルーツ・チャン
製作総指揮■アンディ・ラウ
撮影■オー・シンプイ/ラム・ワーチュン
音楽■ラム・ワーチュン
出演■サム・リー/ネイキー・イム/ウェンバース・リー
1997 香港


94年アンディ・ラウから貰った生フィルムと友人が援助してくれた僅か8万ドル、たった5人のスタッフで制作スタート、97年完成。
(パンフレットより)

 ウォン・カーウァイより、こっちの方が好みかな…

 アウトローものを観ると、世の中ナメんなよ、とか思って登場人物に感情移入できないことが多いですが、主役のサム・リーを見ながら、こんな子ども達沢山いるなぁ、なんて思ったりしました。
 そして登場人物の母親達のように自分の子どもに匙を投げる親も……。

 彼の起用でこの映画は成功していると思う。




 尾崎豊の「卒業」という歌があります。そして、こんなエピソードが。

「行儀よくまじめなんて 出来やしなかった
 夜の校舎 窓ガラス壊してまわった
 逆らい続け あがき続けた 早く自由になりたかった
 信じられぬ大人との争いの中で許しあい
 いったい何解りあえただろう うんざりしながら
 それでも 過ごした ひとつだけ解ったこと
 この支配からの卒業」
「豊がやめたから俺も学校をやめた」「俺も窓ガラスを割った」と得意げにいうファン達に、彼はこう言ったそうです。

 「そうじゃないんだ。俺はファッションでロックンロールをやっている奴らは好きじゃない。ロックンロールは反体制であればいいというわけではない。ドロップアウトした人間がやるものでもない。ロックンロールは人間と人間のきずなの意味を模索するひとつの表現方法なんだ。不自由だからこそ自由を思い続けられる。それが俺の自由だ。」




 彼の唄を初めて聞いた10代の頃、私は彼が歌詞に込めたメッセージの意味を理解できませんでした。
 ただ、「この人本当にこんなことしてたんだって」と友人と話したり……。

 もし、彼が唄うことに行き詰まりを感じていたとしたら、それは自分のやりたかったことと必ずしもそうでない現実とのギャップがそうさせたのかもしれません。

 映画でもそうですね。
 理解することと、共感や肯定は違うものです。そのメッセージがきちんと伝わらないと日常描写の中にヒーローをつくってしまうだけになる。

 「クールな青春映画」で終わらせていいのかな? と思いました。



上へTOPページ