映画雑文 |
ラン・ローラ・ラン(LOLA RENNT) |
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監督■トム・ティクヴァ 脚本・音楽■トム・ティクヴァ 出演■フランカ・ポテンテ/モーリッツ・ブライプトロイ 1998/ドイツ 本編中でも、“赤”がすごく示唆的で印象的でした。 ん〜、キーワードの役割だったのか… “繰り返す”ということはそれほど目新しくはないですが、とても今っぽくポップに描いていたと思います。 テクノ音楽にのって、アニメーションやカットのフラッシュが効果的に使われているところなどはビデオクリップのスペシャル・ロングヴァージョン(なんだー?)のようであり(マイケル・ジャクソンの「スリラー」はまったく映画のショート作品だったしなぁ…)、「ストップ!」とローラが叫んだりするところはTVゲーム感覚なのかなぁ、と。 私は全くゲームをしませんが、ああいうのがロールプレイング? そして、ローラとマニがベッドでなんとも他愛のない会話をする場面を回想シーンかと思いましたが、もしかしてあれが現実で、ローラは夢(空想)の中で走っていたの…?か、とも。 1回目は自分の気持ちに迷うローラの夢、2回目は相手の気持ちに不安なマニの夢、そして3回目で、やっぱり離れられないという答えを見つけた二人の夢… 恋人同士が必ず一度は経験するであろう気持ちを、「もし(if)」という想像力を使って確かめてみる… 「もし、あなたと私が離ればなれになったら…」 それにしても、あまりに陳腐な二人の恋心なのに、ピストルは出てくるは、麻薬は出てくるは、カジノは出てくるは、銀行強盗・スーパー強盗はするはで、やっぱりこれは現実じゃない、とも思えるし、最後はきわめて道徳的にまとまっちゃうのが可笑しい。 動機や場面の設定よりも、ローラが走ることが大事! ベルリンの街を走らせたかったのね、きっと。 そのシーンのためにこの映画を作ったと考えた方が共感できます。 そう、私も予告編で走る彼女が忘れられなくて上映を心待ちにしていたのだから… “繰り返す”方法は様々です。 で、思い当たるのが、ジェフリー・アーチャーの短編*「焼き加減はお好みで…」。 物語の途中から、「1.レア(レア)」 「2.バーント(黒こげ)」 「3.オーヴァーダン(焼きすぎ)」 「4.ア・ポワン(ミディアム)」 の4種類の結末を選ぶことができます。もち論全部読んでもいいのですが、その時はこの順番で読むように指示されます。 男女の話なので、タイトルからその恋の熱し加減がほのかに… 「ラン・ローラ・ラン」も用意された違う結末の中から、あなたの好みの結末を見つけて、ということかも知れません。 皆さんのお好みは? それとも自分なりの結末を考えてみます? 斯くして映画は創られる… *「焼き加減はお好みで…」は、アンソロジー「十二枚のだまし絵」(永井淳訳/新潮文庫)に収録。 この中の「高速道路の殺人鬼」は映像化するとどうなるんだろう、と興味が湧きました。 オムニバス映画にすると面白いかも。 |