映画雑文 |
エリア・カザン |
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アカデミー賞の授賞式を見ていてふと思い出したのは,大学で経験した様々な式典のことでした。 沖縄から本土の大学に進学した私が一番驚いたというか,戸惑ったのは,入学式を初めとする各式典の際に必ず壇上に翻る日の丸と,高らかに鳴り響く君が代でした。 小学生の頃にはまだアメリカ統治下だったこともあり,中・高校を通しても家庭や学校でそれらに触れる機会はほとんどなく,それにあんなに大きな日の丸は見たことがなかったので,とにかく驚きました。 皆さんご存じのように沖縄は本土と異なる歴史的経緯や独自性を持つ地域です。 個人の主義主張に関係なく,日の丸や君が代に対してある種の違和感や抵抗感を持つ県民は少なくありません。私もその一人です。(ちなみに無党派無神論者でもありますが…) 大学の卒業証書授与では,日の丸へ一礼という手順でどうしても頭を下げることができずに素通りし,君が代斉唱で起立したものの,やはり口を堅く閉じていました。 エリア・カザンの受賞にスタンディング・オベーションしなかったエド・ハリスやニック・ノルティと,君が代を歌わなかった私を同列に語ることはできませんが,彼らもきっと「そういうものだから」で済ませてほしくないと思ったのだろうか,と感じました。 先日の朝刊の一面に,高校生の半数以上は君が代の歌詞の意味を知らないというアンケート結果が掲載されていました。予備校で公民科(主に現代社会)を教える者として,これでいいのか,いいわけないよねと反省しています。 赤狩りの意味知ってるかなぁ? |
映画雑文 |
第71回 アカデミー賞 |
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昨日の朝,アカデミー賞の放送を観ていると娘が「アンパンマン観る〜」と言い,やっと終わったと思ったら今度は「これ〜」としまじろうのビデオを持ってきて… ビデオのエンディングにバイバーイと手を振ったら,やっと私の番。 TVの視聴率は去年を下回ったらしく,確かに今回は未公開の作品が多かったので,日本のファンにとっては比較検討の楽しみが少なかったかな。 今回私が心待ちにしていたのは,亡くなったスタンリー・キューブリック監督にどれだけ触れてくれるかということだったので,スピルバーグの 「想像でしか行くことのできない世界を見せてくれた」 という言葉に,そうだよねと頷いていました。 私は,絵画や小説もち論映画でも虚構の世界が大好きです。 こちらの想像力をかき立ててくれるような作り物の世界,この作り物というところが好きですね。 想像と創造。 日本語の語呂合わせでよく使われる表現ですが,想像力のないところに創作物は生まれないし,創作活動になくてはならないものが想像力ではないでしょうか。 イマジン,イマジネーション… それを思う存分満たしてくれたのが,私にとってキューブリック監督の作品でした。 モノクロの作品は観たことがないので,今後ビデオ化は無理でもTVで放映してくれることを期待しましょう。 トム・クルーズとニコール・キッドマンによる最新作(遺作)ですが,夫婦共演の前作はなぜかギャグになってしまったけど,今回は大丈夫よね。 これも個人的な好みで,特殊視覚効果賞を「奇蹟の輝き」が受賞して良かった。 火炎放射器みたいなCGばかりでは想像力は湧きませんものね。 名誉賞を受賞したエリア・カザンについての知識がなかったのですが,スピルバーグなどスタンディング・オベーションする人がいるかと思えば,エド・ハリス,ニック・ノルティ,ジム・キャリー等は最前列に座っているにも関わらず憮然とした表情でニコリともせず,何か変だな〜とは感じました。 その後新聞やINETで理由が解って納得。 確かプレゼンターのロバート・デニーロは,そのハリウッドの暗黒時代(赤狩り)を取り上げた作品(タイトルは忘れてしまいましたが*)に主演したこともあると思うけど… *タイトルは「真実の瞬間」,監督アーウィン・ウィンクラー,1991年 |