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映画雑文えんぴつ
遠い空の向こうに
OCTOBER SKY
監督■ジョー・ジョンストン
脚本■ルイス・コリック/ホーマー・ヒッカム・Jr
出演■ジェイク・ギレンホール/クリス・クーパー/ローラ・ダーン
1999 アメリカ 108分
http://www.nifty.ne.jp/rforum/fcinema/new2000/october_sky/(情報)

後にNASAのエンジニアとなったホーマー・ヒッカム・ジュニアの実話を元にした『ロケットボーイズ 上・下』(草思社)の話です。私はドキュメンタリーの方を先に見ていて、またハリウッド・ドラマということもあり、映画には少し距離をおいていました。
でも、色んな方からお薦めをいただいて、やっと鑑賞したという次第で・・・。

本作品を観て、少女時代から大好きな海外TVドラマ「大草原の小さな家」の、主人公のローラ(注1)が教師として初赴任した村で起こる一話が、ふと心に浮かびました。私がこのTVシリーズの中で忘れられないストーリーの一つです。

一人の少年の欠席が続き、ローラが家を訪ねると、その父親は「農夫は数の数え方だけ知っていればいいんだ。」と学校へ通わせることに消極的。本人も「僕は父さんの跡を継いで農夫になるんだし・・・」と口ごもる。すかさずローラは少年に聞きます。「あなたがなりたいのは本当に農夫? もし、あなたの夢が他のところにあるとしたら?」
少年はその時初めて、「医者になりたいんだ。」という本心を白状する、という話。

「なぜ勉強するんだろう?」よく繰り返される小さな疑問。ローラのストーリーは、その答えを見つけるヒントを与えてくれる話でした。誰でも“可能性”を持っている。その可能性を信じるからこそ、勉強はその備えなのだと。

「遠い空の向こうに」は、代々炭坑夫になることを運命づけられた小さな町で「ロケットを作りたい!」と奮闘する少年達が登場します。また、少年達の“可能性”を信じ、支え続けた女教師の存在が印象的でした。自分の人生を決定するのは運命や環境ではなく、自分自身の意思の力なのだ!なのですよね。そして、そう思えるのも、この作品が実話だからこそ。

これは、いわゆるサクセスストーリーなので観ていて安心感があります。たとえ結末を知っていても(しつこいですが、実話なので)、エピソードの取り上げ方や見せ方など楽しめる作品でした。

主人公の少年役と、クリス・クーパーの無骨な父親役が良かったです!
教師役のローラ・ダーンは「ブルーベルベット」
(1986、監督:デヴィッド・リンチ)の印象があまりにも強すぎて、私の中では“顔の歪んだ変わった女優さん”になってます。せっかくイイ役なのに、ごめんなさい・・・。
原作者も脚本に参加し、彼が著書の中で描きたかった故郷の様子や想い出の一場面など、思い通りに再現できたのではないでしょうか。

どなたへも、安心してお薦めできる一本ですね。



(注1)どっひゃ〜!すっかり大人の女性になったローラ役のメリッサ・ギルバート(1964年生まれ)。
   (「ライアー・ライアー」(1997)のプレミアにて。)

2001.3.9


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