映画雑文 | ||
存在の耐えられない軽さ THE UNBEARABLE LIGHTNESS OF BEING |
監督■フィリップ・カウフマン 原作■ミラン・クンデラ 脚本■ジャン=クロード・カリエール/フィリップ・カウフマン 撮影■スヴェン・ニクヴィスト 出演■ダニエル・デイ=ルイス/ジュリエット・ビノシュ/レナ・オリン 1988 アメリカ 173分 ”プラハの春”が題材になっていて、当時のドキュメンタリー映像と映画撮影フィルムの合成!というふれこみに興味を持ち、公開時に劇場で観ました。もう随分前のことですが、そのモノクロ映像は大変見事なもので、主人公達がまさに1960年代当時に生きているような迫力でした。 主人公のダニエル・デイ・ルイス演じる医者と、彼をめぐって2人の女性が登場します。一人は突然の出会いから妻になる女性、もう一人は長年つき合っている恋人。チェコの動乱のなかで時代に翻弄されながら、3人の不思議な関係もまた混沌としていきます。 映画の中の台詞だったのか、当時観たときに私自身がそう思ったのかはっきりしませんが、「愛することと理解することは違う」ことを登場する2人の女性から感じました。 どうしようもないプレイボーイであまりに気ままな彼を許せないと思いつつ深く深く愛していく妻、また、奔放な彼とまるで同化しているかのように心を許し理解し合う恋人。いつも一緒にいることで愛を感じたい妻と、互いを束縛しないことで強く結びついていく恋人。どちらを取るか、どちらを選ぶかという次元に当てはめることのできない3人の関係は、大袈裟な言い方ですが、琴線に触れる思いがしました。 奔放な愛のかたちは、“プラハの春”を待ちわびる自由の証しと力強さの表れなのでしょう。何ものにも縛られないという権力からの自由、かな。 愛・性愛を通してチェコの人々の息吹を感じさせるあたりは素晴らしいと思いました。 タイプの異なる2人の女性がそれぞれ魅力的です。 世間知らずの田舎娘(だからこそ彼に引っかかった?)をジュリエット・ビノシュがとてもキュートに演じていて、対照的に才能あふれるセクシー美女を演じるのはレナ・オリン。ダニエル・デイ・ルイスはオイシイ役なのよね、ホント。 フェイドアウトしていくようなエンディングもよかったです。 もう一度観たい。私にとってそう思わせる作品です。 |