ムーチー


旧暦12月8日(新暦だと2003年は1月10日と12月30日。今年は2回もあるのですv)は沖縄ではムーチーというものを作って食べます。
ムーチーというのはもち粉に水を加えてこね、平たく長方形の形に形を整えて月桃(方言では さんにんといいます)の葉で包んで蒸したおもちのことをいいます。黒砂糖やとうきびや紅いも混ぜたり、 食紅で赤く色を着けたりもしますが、基本は何も入れない白。(私は黒糖味の茶色のムーチーが好き)
月桃(さんにん)の葉(かーさ)で包むので「かーさむーちー」とも言います。月桃の香りがとてもいい香りなんです。 香りまでお伝えできればいいのですが。
このムーチーを神棚や仏壇、かまど(台所の火を使う場所の近くに火の神を祭る神棚のようなものを 作る。現在でも火の神(ヒヌカンと読む)の棚を設けている家庭は存在する。我が家もそのひとつ) などに供え、家族(特に子ども)の健康を祈願する行事のことをいいます。

昔話に「鬼餅(オニムーチー)の話」がありまして、

人を食う鬼となってしまった兄を退治する為に、妹が石(または鉄)を入れたもちと普通のもちを作り、兄の元を訪れます。 妹は作ってきたもちの一方(石を入れた方)を兄に渡し、訝しむ兄の前で、自分は石を入っていないもちを美味しそうに食べます。 兄は美味しそうに食べる妹を信用し、石入りのもちを食べます。石入りを食べた兄はもがき苦しんで最後にはがけから落ちて死んでしまいました。

ムーチーの行事の由来はそこから来ているのではないかと言われています。この「鬼餅」の話は地域によって異なります。 私が引用した話は以前にバイトしていたスーパーに解説として書かれてあったもの。
他は、石や鉄を入れて餅を作って兄にあげるところまでは一緒なのですが、そのあとが

妹は兄の目の前でわざと着物の裾を開いて座り、石の入っていない餅を食べ始めました。 石の入っている餅を食べられない兄は妹の下のくちを目にして訊ねます。「それは何か?」 妹は兄の問いに答えます。「上の口は餅を食べる口。下の口は鬼を食べる口」  兄はその言葉を聞いてびっくりし、慌てて逃げましたが、逃げる途中でがけから落ちて死んでしまいました。

という話があります。
このムーチーの行事は沖縄全島にあるわけではないようです。八重山宮古などの先島地区にはあまり浸透していないよう。

子どものいる家庭ではムーチーを年の数だけ結んでつるします。が、現在、つるしている家庭はあるのでしょうか?(余談ですが私の友人は毎年年の数だけ ムーチーを食べているそうです。縦15センチくらい横5センチ、厚さは数ミリのものを年の数……かなりの量なんですけれど……)男の子には力餅といって大きく作るそう。
子どもが生まれて初めてのむーちーは「初ムーチー」といい、これを祝い、近所や親戚に配ります。
またムーチーの時期ともっとも寒い時期が重なることからこの時期の寒さのことを「ムーチービーサ」と呼んでいます。



戻る