スヌーピーとの想い出(日常編)
「スヌーピーとの想い出」を「日常編」、「さよなら編」に分けました。


NEW!第22話 盗み食い?
スヌーピーがまだ生きていた頃、実家の改装工事をしていて、そこにくる工員さんたちにも
スヌーピーは遊んでもらっていたらしいです。
工員さんたちの10時のおやつ、3時のおやつをちょっともらったのをきっかけに、工員さん
の、パンを食べてしまったことがあるらしいです。
うちの管理が悪かったのか?
おなかすかせさせてごめんね。スヌーピー。
そういえば、おなかをすかせると、食器をくわえてもってきたこともあったね。


第1話 ようこそスヌーピー
晩秋のある土曜日の夕方、私が家に帰ると玄関に真っ黒の仔犬がいました。叔父が
、「(私が犬を欲しがっていたので)あげる。」とのことで仔犬を連れて来たのです。
「スヌーピー」という名のその仔犬は、見慣れぬ人をおびえる様子も特になく、さ
わられても嫌がりもせず、以前からこの家に住んでいたかのようなふるまいでした。

スヌーピーは仔犬の頃から、マイペースな性格の犬だったのです。

犬を飼うのははじめてだった私に、「実際に手から直接えさをあげると早くなつく
よ。」との叔父のアドバイスがありました。その通りにその日の夕食だったすき焼
きの肉をすすいだあとで手にすると、スヌーピーは一目散に私の所へ来てくれまし
た。一瞬にして肉を食べ終わると、「もっとちょうだい」と言わんばかりに目を輝
かせながら私の手をなめ、飛びついてきました。

すき焼きがお目当てだったことは明らかですが、それでも二人は友達になることが
できたのです。

ちなみにスヌーピーがうちに来た本当の理由は、叔父の家で先に飼っていた二匹の
犬と、「かわいいから」と叔父の家の隣の商店からもらわれてきたスヌーピーとの
折り合いが悪かったからなのだそうです。

理由はともかく、家族の一員となったスヌーピーはそれから10年の間、私の友達で
あり、心の支えであるかけがえのない存在となるのでした。

第2話 2階から落ちた!
スヌーピーが家にきて2ヵ月ほど経った頃のことでした。2階のベランダから見え
る外の景色が珍しいのか、仔犬だったスヌーピーはいつもベランダから身を乗り出
して外を眺めていました。
「あぶないなあ」と思っていた矢先のある日、スヌーピーを散歩に連れて行こうと
思って探してもベランダにも、家の中のどこにもいません。「まさか」と思い表に
出てみると、明日出す予定だったゴミ袋の上でクンクン泣いているスヌーピーがい
ました。抱き上げてみるとぶるぶる震えていて、足を痛がっていました。

ねんざだけですんで、まあよかったのですが、こちらも肝を冷やしました。それ以
来しばらくの間、高所恐怖症になってしまい、ベランダからのお出迎えもしばらく
やめてしまったスヌーピーでした。

第3話 車からも落ちた!
車から見る流れる景色の大好きだったスヌーピーは、身を大きく乗り出して景色を
楽しんでいました。そのときはたまたま車の窓は全開になっていました。
景色に夢中になっていたスヌーピーはふと、前足をドアのへりから滑べらせて、走
っている車の外に転がりだしてしまったのでした。

リードがついていたため、宙ぶらりんになるだけですんだのですが、対向車線の車
の人もびっくりさせ、家族もびっくりさせたスヌーピーでした。ちょっとびっくり
していたものの、お騒がせのスヌーピー本人は平然と、再び外の景色に見入ってい
たのでした。

第4話 風邪をひいたスヌーピー
スヌーピーがもうじき一歳になろうとしていた秋の日の朝でした。
スヌーピーが散歩にも行きたがらず、ご飯も食べないのです。水入れのところまで
歩くと、パタンと倒れるのです。

「何か病気をしたのだろうか?」と、気が気ではなかったので学校を休もうとした
のですが、当然母に叱られて、後ろ髪を引かれる思いで学校に行きました。当然授
業はうわの空でした。

ダッシュで家に帰ると、何故か父も昼なのに家にいて、そしてスヌーピーは嘘のよ
うにピンピンしていました。

母に理由を聞いてみると、「スヌーピーがあまりにもきつそうだったし、車検に車
を出していて自分の車がないので、父の職場に電話して、父の車でスヌーピーを病
院に連れて行った。」とのことでした。

「もし僕が病気になったらそこまでしないだろ。」とか思いつつ、スヌーピーの事
を心配してくれていたので、うれしくもありました。スヌーピー自身は、体調が悪
かったことなど嘘のように、食欲旺盛で、散歩をせがんできました。

その風邪が、スヌーピーの生涯ただ一度の風邪となりました。

第5話 ネズミを取ったスヌーピー
誰に似たのか(?)怠慢なところがあったスヌーピーでしたが、時には、動くものを
見つけてさっと追いかけたりと、意外な俊敏さを見せることもありました。
ある日、スヌーピーを庭に出し、しばらく遊ばせていました。「どうしているのか
な?」と思い見てみると、スヌーピーが何かをくわえています。何かと見てみると
、それはなんとネズミでした!しかも生きています。家族がびっくりしたのを見て
スヌーピーもびっくりしたようで、ネズミを口から離し、するとネズミは逃げて行
きました。

スヌーピーとしては「おもしろいもの」を見つけて得意気だったのかもしれません
が、みんなの反応はというと・・・。

「病原菌を持ち込んで困った犬だ」とか、「もう家に入れない」挙げ句の果てには
「バカだね」などなど意外にも冷たいものでした。かわいそ!

ネズミを取ったことに対する評判が芳しくないのがわかったのか、ネズミを取って
来たのはこの時がスヌーピーの10年間の生涯ただ一度でした。

しかしながら一応口を洗い、俊敏さをほめて犬用のおやつジャーキーをあげると、
スヌーピーはたいそうご満悦のようでした。

第6話 失礼だワン!
スヌーピーは典型的なムク犬、しかも灰色の毛並をしているので丸くなっていると
モップのように見えることもありました。
また、どうみても猫には見えないのに、例えば玄関でスヌーピーが寝転んでいると
ころにセールスマンの方やお客さんがくると、「猫かと思いました。」などど猫に
間違われることがなぜか多いスヌーピーでした。

ある日家を訪れたセールスマンの方が寝転んでいるスヌーピーを見て一言「猫かと
思ったらモップですね。」

そのセリフ、なぜか受けてしまいました(笑)。もしもスヌーピーがこの意味を理解
したら、きっと「失礼だワン!」と怒っただろうな。

第7話 スヌーピーにかまれた!
スヌーピーは毎年春にある予防注射が大嫌いな犬でした。毎年予防注射の時にはひ
と苦労していたものでした。
人間の腰元から胸元ほどもある高さの注射台からジャンプして逃げ出そうとしたり
、獣医さんに牙をむきだしてうなったり、あげくの果てには注射に来ている他の犬
とけんかしかけたりと、予防注射の時にはこちらも閉口するほどの「暴れん坊」ぶ
りを発揮していたものでした(笑)。

「かまれた」というのはスヌーピーが5才の時の予防注射でした。
注射の時の手際が少し悪く、収拾のつかなくなったスヌーピーをとうとう私が抱っ
こして注射することになりました。

獣医さんに向かって牙をむきだしたスヌーピーの口元にそれを抑えようとした私の
手がいってしまい、右手の薬指をかまれてしまいました。

スヌーピーは「悪いことをした」と思ったのか、大人しくなりました。指先だった
ので、結構困ったし、また痛かったです。翌年の注射からは、反省したのか、ある
いは注射に慣れたのか、スヌーピーの体を左側を私の胸で押さえ、右側は手で押さ
えるというようにするだけですむようにはなりました。

今となってはなつかしい思い出です。「指先に傷くらい残っていればいいのに。」
と思う事さえあります。

予防注射は、私にとってもスヌーピーにとっても大変な「年中行事」でした。しか
し、その時にもらった、ブリキでできた「犬監察」と「予防注射」の登録証はスヌ
ーピーの生きた証であり、そして大事な形見です。

第8話 唯一の友
あまり家族以外には関心を持たない無頓着なところのあったスヌーピーですが、唯
一、散歩コースの近所の家で放して飼われているマルチーズとは、散歩で会うたび
にじゃれあったりして、時間の経つのを忘れて遊んでいたものでした。
グレイのスヌーピーとホワイトのそのマルチーズ、大きさも同じくらいの2匹がじ
ゃれあっているのは本当にほほえましく、道行く人までも目を細めて見ていたもの
でした。

今でも、一人で道を歩くとそのマルチーズは寄ってきます。まるで、「今日はスヌ
ーピーちゃんはどうしたの?」と言わんばかりに。

第9話 放し飼いはよくない
ある日、いつものように散歩をしているとスヌーピーめがけて一匹のゴールデンレ
トリーバーが吠えながら走って来て、スヌーピーの喉もとにかみついてきました。
私もびっくりしましたが、リードをとっさに引っ張り、スヌーピーを抱き上げると
そのゴールデンレトリーバーはすぐにどこかに去って行きました。
幸いスヌーピーにはどこにもけがはなかったのですが、とてもびっくりしたと共に
、「何で大型犬を放し飼いにするのだろう?」とすごく腹が立ちました。それは一
度ではなく、別の日にも似たようなことがありました。

その時は走って来るのが見えた時点でスヌーピーを抱き上げました。そうすると、
そのゴールデンレトリーバーはすぐに去って行きました。どうやら人間ではなく犬
に対しての襲撃のようでした。
どこの犬かはその時わかっていたので、「今度再び同じようなことがあったらその
家に抗議しよう。」と思っていたのですが、三回目は幸いありませんでした。

当のスヌーピーは2回とも平然していたのですが、私は大型犬だったこともあって
、本当にこわかったです。犬の放し飼いは結局犬も不幸にしてしまうし、何かあっ
たら謝って済まされることではないので、本当にやめてほしいなと思います。

第10話 雨の降る日は
スヌーピーはベランダにいるときはたいてい寝そべっていたものでした。しかし、
雨が降ると、ベランダの手すりの方まで来て、ちょこんと座って空から降って来る
雨を見上げているのが常でした。
「なんで空から水が落ちて来るのだろう?」と不思議に思っていたのでしょうか。

でも、雨に当たることは嫌いだったようで、風向きが変わり雨にぬれるようになる
と、すぐさま家の中に入って来たものでした。

沖縄だから雨どころか台風が来るのもめずらしくありません。そういう時は部屋の
中でのんびり、外の様子をながめたり、寝そべったりしてました。他の犬もそうか
も知れませんが、台風などで表に出られない間、一切用を足さないのです。雨が弱
くなり、トイレのために外に出すと、用だけさっと済ませ、「もう帰ろうよ?」と
言わんばかりに私を見つめ、そして家のほうに歩き出したものです。

けなげなものだとよけいにかわいく思えたものです。

今から3年前に超大型台風が来たときには、3日間も表に出られない時がありまし
た。トイレの我慢も限界だろうと思い、部屋の中に新聞紙を敷いて、「スヌーピー
、ここでトイレしていいよ。」というと、スヌーピーはその隣に置いてあった私の
教科書におしっこをしたのです。

たまにはこんな失敗もしました。もう使えなくなったこの本は、今となってはスヌ
ーピーの大事な形見の一つです。

第11話 チャルメラがお気に入り
だいたいどんな物も食べるスヌーピーでしたが、チャルメラに入っているチャーシ
ューはことのほかお気に入りでした。家の近くにチャルメラが来ていたときにスヌ
ーピーを連れて行ったとき、チャルメラのおじさんからスヌーピーがチャーシュー
をいただいたことをきっかけに、味をしめてしまいました。
チャルメラの音がすると連れて行ってほしいとこちらをじっと見つめて無言でせが
みます。時には甘えた鳴き声も出しました。

連れて行ってラーメンを買っての帰り道でのお決まりの光景がありました。おこぼ
れのチャーシューのみではあきたらず、ラーメンの中身を求めてスヌーピーは2本
足で立って、ラーメンに鼻先は向けてそのままの姿勢で家の玄関までの道を直立歩
行で帰っていくという、なんともおかしなものでした。

第12話 スヌーピーのついた嘘
スヌーピーはベッドの上で寝ることは、ムク犬だったので暑かったせいもあり、あ
まり好きではなかったのですが、ベッドでの爪とぎは大好きでした。あんまりやら
れると毛布や布団、そしてマットレスがだめになるので、爪とぎはさせないように
していました。
スヌーピーも言うことを聞いて、ベッドの上に上がらなかったのですが、それでも
たまーに、やってたみたいです。

ある日、部屋に戻ると、スヌーピーがベッドのところにいます。しかし、どうも様
子が変なのです。

私の方を、普段以上にかわいらしさをアピールした目でじーっと見て、しっぽをふ
りながら、いつもとは違い、やけに愛想がいいのです。不思議に思い辺りを見回す
と、スヌーピーのリードが、ベッドの上に乗っかっているのです。

リードを加えてベッドの上に載せるなんてことはスヌーピーにはちょっと難しいで
しょうからね。スヌーピーは状況証拠の陰滅には失敗したようです(笑)。

スヌーピーは「ぼくはベッドのうえでつめとぎなんて、やってないよ。」と、スヌ
ーピーなりに必死に嘘をついていたのでした(笑)。なんだかすごく、ほほえましか
った出来事でした。嘘は下手なスヌーピーでした。

第13話 スヌーピーの呼び方
スヌーピーという名前、とてもかわいい名前で、呼びやすいと思うのですが、うち
では、スヌーピーは短縮されて呼ばれていました。
両親は、スヌーピーのことを「ヌーピー」と呼んでいました。今改めて思い出すと
、変な呼び方です(笑)。

で、自分はというと、はじめは普通に「スヌーピー」と呼んでいましたが、すぐに
「スヌ」、そして間もなく「ヌー」と呼ぶようになっていました。もっと変な呼び
方です(笑)。

それでも、スヌーピーは「スヌーピー」、「ヌーピー」、「スヌ」、「ヌー」、ど
れも自分の名前であることはわかっていたようでした。それぞれの呼び名に「ちゃ
ん」づけされても自分のこととわかっているようでした。

そういえば仔犬の頃はテレビの横で昼寝をしているときなど、テレビから聞こえる
、「スヌーピー」という単語に反応して、とび起きてあたりを見回していました。

しかし、テレビからの音と家族の声とを聞き分けられるようになったのか、短縮形
で呼ばれるようになったことが増えたせいか、いつの間にかテレビからの「スヌー
ピー」という単語には反応しなくなり、のんびりと昼寝を続けていたものでした。

第14話 やっぱり猫が好き
スヌーピーは散歩の時など、他の犬や人には全く関心がないように見えました。散
歩中、他の犬が寄ってきても、「我関せず」といった感じでした。
しかし、なぜか猫には興味があったようで、猫を見ると、鼻先をクンクンいわせな
がら興味深そうに近付いていったものでした。

父や母が散歩に連れていったときも同じだったようで、「自分を猫だと思ってるの
かね?」「頭の悪い犬だね。」などなどスヌーピーが聞いたら怒るようなことを言
われていました(笑)。

スヌーピーが追いかけても、たいていは猫のほうが逃げて行ってしまいます。猫に
遊んでもらえなくて、少しつまらなさそうにも見えました。

そんなある日、散歩中に猫を見つけたスヌーピーは鼻先を猫の所に近付けて行きま
した。

「キャン!」

かわいそうに、スヌーピーは鼻先に「猫パンチ」されてしまったのでした。父や母
も「また猫にひっかかれよった。」などなど言っていたので、一度や二度じゃない
ことだったかもしれません。

それでも猫好きなスヌーピーは、その後も懲りずに、猫を見ると近寄って行くので
した。

第15話 苦手な食べ物?
スヌーピーに基本的に好き嫌いはありませんでした。
でも、とある有名なペットフードの◯◯◯◯(名前を言えばすぐわかるくらい有名な
商品です)だけは、なぜかスヌーピーの食欲をそそらないようでした。

いとこのうちの犬は、喜んで◯◯◯◯を食べます。スヌーピーももちろん食べるの
ですが、食が進まないのです。

ちなみにスヌーピーの好きなドッグフードは、缶詰タイプのものなら何でも、そし
てドライタイプだと、「すき焼き風味のドッグフード(商品名失念)」というもので
した。

ちなみにスヌーピーが苦手なのは、◯◯◯◯の中でも、一番安い商品でした。グレ
ードの上がったものだと、同じメーカーのやつでも、おいしそうに食べていました
。犬にもある程度好みはあるものだなとおもしろく思いました。

あと、◯◯◯◯◯ー◯◯◯のドッグフードに、骨、野菜、肉、チーズなどいろんな
種類が入っているやつがあったのですが、スヌーピーの食べる順番は、肉、チーズ
、骨、野菜の順でした。やっぱり犬は、肉が好きなんですね。どこの犬もそうなの
でしょうか。

今でもドッグフードを店で見かけると、スヌーピーが食事をしている姿かわいい姿
を思い出します。

第16話 犬小屋
スヌーピーがうちにきたばかりのことです。
「スヌーピーはベランダにもよくいるので犬小屋を買おう。」ということで犬小屋
を近所のホームセンターで買ってきました。ところが、買ってはきたものの全くス
ヌーピーは入ろうとしません。犬小屋についていたリードをひっかける部分にスヌ
ーピーをつなぐと、スヌーピーは犬小屋ごと家に入ってきてひきずって歩いていま
した。

犬は自分の居場所ができると喜ぶものだと思っていたので、犬小屋が嫌いなスヌー
ピーには少々びっくりしました。スヌーピーの犬小屋嫌いは徹底していて、入れて
も、すぐ出てきてしまい、小屋には全く入りませんでした。

そんなスヌーピーのお気に入りの寝床は、座ぶとん。そしてベランダ用のサンダル
でした。涼しいところやあったかいところを探して、座ぶとんをくわえ移動し、そ
して座ぶとんを敷いてごろごろしているのです。サンダルは、たまに枕のようにし
てサンダルに頭を載せて寝ていました。

冬場はストーブの前がお気に入りだったのですが、今頃の、暖かくなる季節になる
とスヌーピーがベランダでいい場所をさがして座ぶとんをくわえている姿をよく目
にしました。今でも、天国で気持ちのいい場所を探して、座ぶとんをくわえてたり
するのでしょうか。この時期になると、その姿が思い出されます。

第17話 台風の時には
台風が来ると、スヌーピーは家の中、私の部屋や玄関に避難していることが多かった
のですが、台風のときスヌーピーがいちばん好きだった場所は、なぜか増築でコンク
リート敷きのきれいとはいえない物置部屋でした。

横長で6畳ぐらいの広さの物置で、わりと自由に行き来できるのですが、台風が来ると
スヌーピー自身が、率先して父の部屋からつながっている物置に入っていくのです。

普段は玄関がお気に入りなのですが、なぜか台風の時だけは物置部屋なのです。

何でだろうと思ったら、わかりました。スヌーピーはうちの父親がとても好きなのです。
大して面倒をみるわけでもない父ですが、家の長が誰かということはわかっていたの
でしょうか。
台風になると父は家にいるので、それでスヌーピーは物置部屋に行きたがっていた
のかもしれません。別に父が遊んであげたりとかするわけではないのですが、物置
部屋にいるスヌーピーは大変満足そうでした。


このあいだ、台風が来ました。
家の玄関が開かないので、物置部屋の出口から出勤となりました。
物置部屋に入ると、私が高校生の頃にマジックで描いた、スヌーピーの絵が2枚
貼ってありました。私はその絵を描いたことも忘れていて、貼ってあることも知りません
でした。不意討ちだったせいか、スヌーピーのいた日々、そして昔の想い出がとめど
なくあふれだしてきました。

スヌーピーがいる時でも、その年齢なりの辛いことはたくさんありました。しかし過去は
輝いています。スヌーピーがいたからです。たとえ未来が色褪せたものであっても、
スヌーピーの記憶は、闇を照らす灯火になってくれると思います。

第18話 スヌーピーは人見知り
スヌーピーは聞き分けのいい犬だと思っていたのですが、それは家族にだけのこと、
実はちいさな子供のことは、「自分より下」だと思っていたようでした。

うちのいとこ達がスヌーピーをだっこしようとすると、ふだんのスヌーピーとは思えない
怖い顔で歯をむき出しに、「ウー」とうなって威嚇しているのです。
子供は、乱暴に扱うところがあるから嫌いなのか、それとも、やっぱり下だと思っている
からなのか、スヌーピーはわりと子供嫌いな犬でした。

小さないとことスヌーピーを連れて近所に散歩に行ったりしました。
スヌーピーはいとこにリードを引っ張られているのですが、私が後ろの方から歩くと、
スヌーピーはいとこがリードを引くのは無視して、私の方を見て待っています。
いとこのことは、「Out of 眼中」だったようです。

聞くと、わりとこういうことはあるんだそうです。
でも、犬のお友達と子供のお友達も作ってあげたかった気もします。
今は天国で、たくさんのお友達ができたでしょうか。

第19話 車が好きなスヌーピー
車が好きな犬はわりと多いと思いますが、スヌーピーもかなりの車好きでした。
車に乗せると、もううれしくて落ち着かないのです。ずっと、運転席、助手席、後部座
席と行ったり来たりしてきます。
そして、車が動き出すと、車窓から流れる景色を、とてもうれしそうな表情でずっと
見ています。

しかし、あまりに景色に夢中になりすぎて、車酔いをしてしまったこともありました。
それでも流れる景色の大好きなスヌーピーは、車窓からかわいらしい顔をちょこんと
出して、外を見ています。

もっと、車にのせてやればよかったと思います。でももう車に載せてやることはできま
せん。もう一度でいいから、スヌーピーを車に載せてドライブがしたいです。

スヌーピーは、天国でも流れる景色を見ているのでしょうか。

第20話 キョンシースヌーピー
スヌーピーにとって生まれて初めてのお正月でした。
祖父母の家に親戚が集まるのですが、当時2歳のいとこが、スヌーピーのことを大そう
気に入ったようで、「ワンワン、ワンワン」とずっと追いかけていました。

そんないとこに、スヌーピーはなぜかいとこのうしろに回り、前足をいとこの肩に置いて、
立ち上がりました。

いとこはびっくりして逃げ回っています。スヌーピーはそんないとこの肩に前足を置いて
ピョンピョンジャンプしながら追っかけています。スヌーピーもいとこを気に入ったのでしょう。
その姿は、昔はやった「キョンシー」(台湾映画のゾンビ。もう何のことかわからない人も
多いのかも知れませんね。)にそっくりでした。
なんともその姿がこっけいで、親戚全員(そのいとこには悪いけど)で笑いながら見て
いたものでした。

そのいとこが小さい頃は、スヌーピーと3人で私の部屋で泊まったりもしたものでした。
今そのいとこは中3で、180p以上になっています。時間の経つのは早いものです。
もうあの時には帰れません。
巨大になったいとこといい、今は「この想い出は本当にあったことなのかな?」
そんな風に思いさえします。

第21話 ゼット
スヌーピーがこの世に生を受けて15年目、初めて知ったのが、スヌーピーの最初の名前は、
「ゼット」という名前だったということです。

もともと叔父からもらった犬で、いとこがつけた名前が「スヌーピー」だったのですが、
その前は、叔父の家の隣の商店からもらった犬。そこでの呼び名は、「ゼット」だった
とのこと。当時放映していた、「ドラゴンボールZ」からついた名前のようです。

・・うーん。ゼットでもよかったのかもしれませんが、我々の中では、スヌーピーはスヌーピー
でしかありません。それに、スヌーピーという名前の方が、スヌーピーには似合っている、
そんな気がします。呼ばれて、どっちが心地よかったのでしょうか。

ゼットという名のままに、我々と出会わずに生きていたら、スヌーピーは、いやゼットは
どんな生を生きたのであろうか、もしかしたら、もっと幸せだったのかもしれない、そう
思うと、やっぱり10歳という年齢で命を失ってしまったこの犬が不憫でなりません。



戻る