母娘英国短期留学 in Scarborough ('03 summer)


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On the beach



私達が住んだフラットは海のすぐ近くにあり、少し歩くと眼下にビーチを見下ろすことができた。天気の良い日、その眺めはまさに絶景。ちょうどいい具合に幾台かベンチが据えられたその場所には、近くに宿をとっているのだろう、老齢のholiday people がのんびりと腰掛け、日向ぼっこを楽しんでいた。

あぁ、なんて心地よい陽の光。ジリジリと肌を焼くような沖縄の日射しとまったく違う。東京のそれとも違う。北海道より緯度が高い国だから、この日射しは人々にとって待ちに待った恵みの太陽なのだろう。ホリデーの時期、その日射しを求めてスカーバラには国中のあちこちからたくさんの人が集まって来るのだという。家族で休暇を過ごす人、保養のために滞在する老齢の夫婦等々。短い夏を惜しむようにビーチには人があふれていた。



↑小さな小さなアミューズメント・パーク
メリーゴーランドなど小さい子向けの乗り物が数種ある。あまりにも子供だましなので見て見ぬふりをしたかったが、娘にねだられ2週間続けて散財してしまった。一度も出かける機会はなかったが、北の方のビーチには本格的なキッズ・パークがあるとのこと。

ところで、このビーチ。「イギリスの海は泳ぐ海じゃないのよ。」と語学学校の先生から教えられた。なんでも、生活排水が海へ直行しているからという。
・・・「sewage(汚水)」らしい。
更に先生は「泳いでいる時、運が良ければ口元に汚物がプカプカよ〜」なんてオソロシイ冗談まで言っちゃってくれるから。キャ〜! それ以上ヤメて〜!と教室の中は阿鼻叫喚。そんな海で波乗りしようなんて物好きサーファーを「sewager」と呼ぶのだとか。

言われてみれば、ビーチは確かに人だかりはしているけれど肝心の海の中にほとんど人影は見当たらない。日本の海水浴場のように芋洗いにはなってないのね。皆さん水着姿でいても、それは砂で服が汚れるから着ているようなもので、もっぱら砂の上で甲羅干し。子供達はせめて波打ち際で足を濡らしてパチャパチャしているか、砂遊びではしゃいでいるという具合。ビーチ周辺のショップで売っているものは「砂遊びセット」がほとんどで、日本でよく見かける「浮き輪」の類は・・・。そういえば見かけなかったかな。ビーチは海水浴場に非ず。ッテカ。

長いスロープを下ってビーチへと向かう。途中に階段もあったりするので高齢者にはツライ道のりだよね〜と思っていたら、何カ所かに有料のリフト(エレベーター)があった。一人20ペンスだったかな? もちろん利用しなかったけど。私達はテクテクテクテク坂を下りる。

娘は、沖縄から持ってきた夏休みの計画表の毎週土曜日の日付に
「ビーチへ いく」
としっかり!書き込んだ。そうおねだりされたわけだけどネ。
天気の良い日は部屋に籠もったりせず、かといってせわしくショッピングモールなど歩き回らず、海が見晴らせる芝生でのんびりまどろんでいたい・・。

砂の色は黒く、なるほど、どんよりとした海の色。ホワイト・ビーチ&エメラルド・グリーンの海という風景からほど遠いスカーバラの海。お世辞にも魅せられる海ではなかったが、高台から眺める海岸線や、くくっと歪曲した水平線に縁取られた波間は、この土地を訪れるすべての人を無条件で受けいれてくれるような穏やかな海だった。

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