映画雑文 | ||
乙女の祈り HEAVENLY CREATURES |
監督■ピーター・ジャクソン 脚本■ピーター・ジャクソン/フランシス・ウォルシュ 出演■メラニー・リンスキー/ケイト・ウィンスレット 1994 ニュージーランド=アメリカ 100分 1954年にニュージーランドで実際に起きた事件が題材で、少女が友人と共謀して母親を殺害するという、かなりショッキングな内容です。 少女二人は強い絆で結ばれていて、それは男女間の愛情にも似ています。(はっきり言ってレズビアン、つーこと。) そのヒロインの友人役がケイト・ウィンスレット。彼女のデビュー作になります。 母親を殺害するに至るまでのヒロインの日記に綴られたさまざまな思いを幻想的な映像で具現化することで、思春期の揺れ動く自我を表現しようとしているのか・・・。 箸が転がっても可笑しい年頃、泣いた烏がもう笑った・・・。 いつも何かを夢見ていて、待ちこがれ、空想のなかで戯れる乙女たち・・・。 私もそんな少女時代を過ごしたから、その気持ちはよく理解できました。 でもね、幼いんです。あまりにも幼すぎる。 お人形遊びのなかでどんどん二人だけの世界が膨らんでいき、その邪魔をするものは何としても排他したい。それがたとえ親であっても。 この年頃の少女の純粋さ、幼さ、無知、残酷さが巧みに描かれていると思いました。 現実と空想の世界を行き来する彼女たちの内的世界を理解することが、前後の見境なく犯してしまう犯罪の根底を覗くことになるかもしれないという製作者の思いが、あの粘土細工のクリーチャー(原題は「HEAVENLY CREATURES」)の映像に集約されているのかもしれません。 それともう一つ、娘と母親の確執という点でも興味深かったです。 「キャリー」でも感じたことですが、娘×母親って同性だからこそ分かり合える部分と、逆に同性として反発し合う部分が共存していて、女同士の関係って複雑で難しいですね。 私も昔は結構母と衝突していました。 少女の頃はあまりにも自分の周りの小さな世界だけしか見えていなくて、「私の気持ちは私にしかわからない」のだと頑なになっていたり・・・。 今、自分が同じ親の立場になって気付くことって少なくないです。 これは息子×父親という男同士の関係とまた違うものだと思えるのですが、男性の目からから見てどうなんでしょう? 恐いです。 邦題に惑わされないように・・・。 |