映画雑文 |
スモーク SMOKE |
1995 アメリカ=日本 113分 |
監督:ウェイン・ワン 製作:ピーター・ニューマン/グレッグ・ジョンソン/堀越
謙三/黒岩 久美 原作・脚本:ポール・オースター 撮影:アダム・ホレンダー 音楽:レイチェル・ポートマン |
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出演:ハーヴェイ・カイテル/ウィリアム・ハート/ストッカード・チャニング/ハロルド・ペリノー/フォレスト・ウィッテカー アシュレイ・ジャッド/ジャレッド・ハリス/メアリー・ウォード/ジャンカルロ・エスポジート |
ブルックリンの煙草屋に集まる男女の日常を描く人間ドラマ。 ヒューマンちっくであるとか、ハート・ウォーミングというのは、どうも背中がムズムズする感じがして(ただでさえ涙もろいもので…)、少し距離をおいてつき合いたいジャンルであり、おそらく、続編「ブルー・イン・ザ・フェイス」(1995)を観ていなければ、観なかったかもしれないタイプの作品。 ポール・オースターが初監督を務めた「ルル・オン・ザ・ブリッジ」(1998)は、宮崎アニメ「天空の城ラピュタ」で登場する〈飛行石〉を実写で見た〜!、という印象が強いだけだったし、ハーヴェイ・カイテルについては「ピアノ・レッスン」(1993)の時でさえそれほど魅力を感じていなかったから…。 ストーリーの随所に散りばめられたエピソード(小話)は如何にも作家的脚本を漂わせ、これを“小粋”と感じるか、逆に“胡散臭い”と感じるかは人それぞれ。 かく言う私も、こういうエピソードに終始するストーリーだったなら背中がムズムズしたかもしれません。 が、正直言って、この作品は心にヒットしました。 その魅力はどこからくるのだろうと考えると、それは他ならぬ出演者それぞれの適役を得たという魅力と、それを映像に収めたウェイン・ワンという監督のセンスなのでしょう。 『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』という小品がもともとの軸になっているらしいのですが、それがエンディングに短編映画のように綴られる映像の楽しさと、出演者が(女性も含めて)シブイ! フック船長ばりに鉤付きの義手をつけたフォレスト・ウィッテカー(私は彼の存在が一番興味深かったです)や、カイテル親爺の元女房役・ストッカード・チャニングは「独眼流」の黒い眼帯で登場するなど、如何にも曰く付きな過去を背負っているのねー、という役どころが印象的です。 「いい話しじゃないですかー」と思うもよし、役者人の存在感を堪能するもよし…。 なんてことを考えていたら、↓ を発見。 この淀川氏の言葉(とくに前段)に涙が出るほど感動しました。 続編「ブルー・イン・ザ・フェイス」(私はこちらが好き)とはまったく趣が異なる本作ですが、是非2作合わせてご覧になってみて下さい。 |