映画雑文 |
シックス・センス THE SIXTH SENSE *ネタばれ無しではレポートになりません。ご注意ください! |
監督・脚本■M・ナイト・シャラマン 製作総指揮■サム・マーサー 制作■フランク・マーシャル/キャスリーン・ケネディ/バリー・メンデル 撮影■タク・フジモト/A.S.C プロダクションデザイナー■ラリー・フルトン 編集■アンドリュー・モンデシェーン 音楽■ジェムズ・ニュートン・ハワード 特殊メイク効果デザイン&制作■スタン・ウィンストン・スタジオ 視覚効果■ドリーム・クエスト・イメージズ 出演■ハーレイ・ジョエル・オスメント/ブルース・ウィリス/トニ・コレット/オリビア・ウィリアムス 1999 アメリカ 107分 大方の感想とは逆の思いがあります。 泣けなかった。自他ともに認める涙もろい私が泣けなかった……。ラスト近くの少年と母親のやりとりはホロッとしたけれど、先週観た2本に比べれば、なんのなんの。 沖縄は先祖崇拝でユタ(シャーマン)の信仰があります。 霊の存在やユタ自身を信じる信じないは別として、死んだ人の霊は恐れるものではないという日常感覚や、地上戦という歴史もあり、霊を慰めるという年中行事も盛んです。 それで、この映画のテーマがどこにあるのか興味深いのと反面、さほど衝撃的(目新しい)ではないだろうという気持ちもあって、それほど期待もしていませんでした。 だからこそ逆に楽しみでもあったのですが…… 死者に対する、あるいは死者からのアプローチという設定は目新しくは感じなかったし、似たような映画はいくつもありますよね。 “秘密”といわれても、「(デミ・ムーア主演の)「ゴースト」と一緒だ」くらいにしか思いませんでした。ちょっと拍子抜け、かな。 しかし、制作者がねらったように、“愛、家族愛”に観客が反応し興行が成功したならば、おそらくオスカーものでしょう。 主役(助演?)の少年役、ハーレイ・ジョエル・オスメントは印象的な演技をしていましたが、もしオスカーにノミネートされるなら主演?助演?どちらかな?最後まで観終えると、やっぱり彼が主役だと思うのですが……。“主演”だとすれば、あれだけ個性的な少年を演じきった彼の力量は評価されるべきです。しかし、“助演”となると、ちょっと違うかな、とも……。 同じ子役でいえば、「ピアノ・レッスン」(1993)のアンナ・パキンの役どころだと、あれこそ存在感だと思いますが。 まあ、そんな賞レースはどうでもよろしい。 個人的には母親役のトニ・コレットがよかったです。 願わくば、あんな意味深な(虐待してるのかしてないのか、という)性格設定ではなく、もっと少年と母親との関わりのなかで少年が救われていく方がよかったかな。 ブルース・ウィリスはとっとと幽霊だと分かって、少年にそれら幽霊との関わり方を諭していくのが母親だと……。 スティーブン・キングの「キャリー」(1976)と逆のパターンはいかが?娘に洗剤入りの食事を与える母親と対照的に描かれるのも面白いと思うけど、そうなると完全に主役が入れ替わっちゃいますね、はは。 母性のたくましさ・強さ・優しさを演じられる女優だと思うので、どこか中途半端で不完全燃焼な気がしました。ちょっと変な言い方だけど、オスメント君の演じきった演技に対して、トニ・コレットはあり余ってしまったかな、と…… 相手が死んでから後悔しないように、ではなく、今の自分の気持ちを伝えたいから相手を抱きしめるのではないでしょうか。 秘密=オチにこだわったことで、この作品の評価は割れるでしょうね。 本作品を観たその夜、娘と「メリーポピンズ」(1964)のビデオを観ました。 “家族愛”を感じるなら断然こっちです。2歳の娘にもウケますが、小さい子どもを持つ、特に父親にはお勧めです。 (心にヒットしたかというと)同時期に観た「ホーンティング」は、かすった。 「シックス・センス」は、はずした。 という感想です。 |