アメリカン・ビューティ
AMERICAN BEAUTY
監督■サム・メンデス
脚本■アラン・ボール
出演■ケヴィン・スペイシー/アネット・ベニング/ゾーラ・バーチ/ウェス・ベントリー/メナ・スヴァリー/ピーター・ギャラガー/クリス・クーパー
1999 アメリカ 122分 |
http://www.uipjapan.com/americanbeauty/index.htm
この作品は2000年に劇場で観ました。それなのに、感想をUPできないまま年を繰り越してしまって・・・。なぜ書けなかったかというと、多分、感じることが多すぎたのかもしれません。何事にもやる気がなくて日常がただ鬱陶しいだけの娘や、自分のキャリアに精一杯の母親などへ思い切り感情移入してしまう・・・。
日本公開はオスカー受賞後ということもあり、アメリカの反応の受け売り的な部分が無きにしも非ずという点は否めないでしょう。地味といえば地味だし、特異なキャラはサイコボーイくらいかな? 登場人物は皆、どこにでも居そうな私やあなた。「何がそんなに良いのか分からない」という感想を持つ人も多いですし、必ずしも万人ウケする作品でないことが分かります。2000年のベストテン関連でもそんなに上位にこないかもしれない・・・。
でもね、私はこれ好きですよ。2000年の賞レースを競った「インサイダー」よりはこっち。ラッセル・クロウよりは、フツウのオヤジをあれだけ印象深く演じたケヴィン・スペイシーが、より魅力的です。
そう、多分。本作品がアメリカで支持を得たのは、普段の、ごくフツウのアメリカがそこにあったからだと思います。「マグノリア」でも描かれたように、アメリカは病んでいるのですね。日本のそれとは比べものにならないくらい病んでいるアメリカがそこに見えます。
例えば日本で、これだけ「バトルロワイヤル」に過剰反応するのは、日常的に進行している“少年犯罪”があるからでしょう?
その必ずしも特別でない、当たり前の“日常”を「アメリカン・ビューティ」が描きたかったのだと思います。家庭崩壊、銃、麻薬、希薄な人間関係・・・。危機感を感じれば感じるほど、それに執着してしまうものなのです。それと、全編を通して陰湿でなかったことが作品としての質を高めたのだと思います。下品にならないギリギリのブラックユーモアが効いていますね。
また、作品そのものの出来と同時に、新人の監督&脚本家が取り組んだということ、そして、その彼らを受け入れる環境があったという、アメリカの懐の深さを感じさせもしました。数々の苦難があるにせよ、ハリウッドが永遠に不滅なのは、この“チャンス”がいつまでも失われないからなのでしょう。
今度はどんな才能が花ひらくのでしょうか。
2001.2.12
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