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私記:父の記録

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燎原の火



 6月20日には全市町村で住民大会を開くことも決定されていた。

 立法院は15日、次のような声明を発表した。

 「〈立法院声明〉 民族の生きる手段として打ち樹てた四原則を、プライス勧告はヘイ履の如く踏みにじり、剰(あまつさ)え租借の挙に出でんとしていることは誠に遺憾千万である。立法院は最期迄これが阻止に全力を傾注するが、飽くまでこれが達成できないならば全員総辞職致し米国の反省を求めるものである。」

 15日の四者協議会では、比嘉行政主席も「行政府としてはこの問題に最も責任を感じているものである。主席はこの問題について責任を負って退陣する決意をもっていることを改めて報告する」とのべ、「副主席以下全局長、主席の行動に従うことに一致し、辞表をとりまとめてある」ことが報告されている。

 市町村会も緊急総会で、軍用地問題解決への最終段階での態度を協議、問題決裂の際には総辞職の声明を発表することを決めていた。

 これらの動きに対してバージャー主席民政官は15日の記者会見で、

 「決意書の内容が一括払い、新規接収の拒否のため総辞職するという意味のものであれば、未成熟な行動と言いたい。彼等が自己発意によってやることは、それは彼等の自由だと思う。一括払い方式をとるのは、将来の紛争を防ぐためであるということは、ワシントンの意向の一つであるが、詳しいことは今のところ知らない。

 フィタイトル(永代借地権)という言葉の詳しいことについては説明書が来なければ分らない。別の法律語が使われずにこの言葉が使われた理由もまだはっきりしていない。

 勧告の変更は、ワシントンで決められたので現地においてはできない。そのことについても、それが変更しうるものであるかどうかは情報が入っていないので何も言えない。」

と語っていた。
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