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私記:父の記録

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 沖縄教職員会はいち早く反応した。処分発表当日の8月17日、次のような声明を発表している。

  〈声 明〉 この度琉球大学理事会が、学生の四原則貫徹運動についてその行動を反米的と認め、6名の学生を除籍し1名の学生に謹慎の処分を敢えてしたことは、彼ら学生を路頭に迷わしめるばかりでなく、大学自治、学問の自由に深刻な暗影を投ずるものとして、本沖縄教職員会は強い不満を表明せねばならない。そもそも四原則貫徹の運動は、プライス勧告によって80万県民の最低限の要求が踏みにじられようとするに当って行政府、立法院をはじめとする五者協の強い決意の表明があり、これが契機となり、自然発生的に盛り上り、全住民総立ち上りの運動になったもので、この重大関頭に立って若い学生たちが本運動に参加したのは自然の成り行きと考えられる。

 この純真な動機による彼等若い学徒の言動の一端をとらえ、大学理事会が直ちに彼等に対し最悪の処置をとったことは、まことに遺憾なことといわねばならない。

 琉大理事会各位の苦衷は十分理解し同情もし得るのであるが、事件発生後終始謹慎の態度を持してきた彼ら学生に対してはすべからくこれを教育的に処置し、教育的に解決すべきものであって、これを直ちに行政的に処置することは決して穏当とは考えられない。われわれは教職にあるものとして、これら学生の将来をあやまらしめぬためにも、また琉球大学をわれわれの大学として真の発展を期すためにも、この度の処置は再考慮を払われることが賢明な策と信ずる。

  理事会は決してこれらの学生のみを犠牲にすることなく、全住民の十分納得し得る万全の処置を講ずべきである。しかし、われわれは、その成り行きに対して重大なる関心を払うものである、なお、この度の琉大学生の問題に関しては、全住民が等しくこれを見守るべきであり、本会もその善後策については凡ゆる努力を払うことを決意する。

 大学当局は、学生にとっては厳しすぎる処分であるにせよ、この決定ですべてを終らせようと考えていたようである。理事会や評議会の責任問題については、学生の前では何ら語られていなかったが、新聞報道によると、「この問題に関する限り一応の責任は終えたものと考える。しかし今後、これによって起こる問題については責任をもって善処する。」と語っていて、例えば引責辞任などについては念頭になく、極力問題の拡大をおさえ、事後処理に当る考えを示していた。
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