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琴線の法則「分かりやすさの法則」をつかい、1年目で7坪数千万円の売上を達成した事例を紹介しましょう。
那覇市国際通り。観光客のメッカで、歩くほとんどの人が観光客です。国際通りにはずらりと土産品店が立ち並んでいます。その国際通りの中心部にジュエリー販売のT店があります。一等地にある老舗のジュエリー店ですが、国際通りから地元客が少なくなるにつれて売上も落ちていました。T店の経営者のAさんは、ジュエリー店の一部(7坪)を県産品コーナーにしていきたいと考えていました。
「沖縄には、体に良い県産品がいっぱいあるので、そういう商品を集めて県産品ショップをしたい」「国際通りにはたくさん土産品店があるけど、土産ばかり置いている店舗にはしたくない」と夢を語っていました。
オープンまで1ヵ月を切っていました。看板のデザインも考えていて「体に良い県産品」という内容でアピールしていました。
「Aさん、県産品を取り扱って売りにしている店はすでにあります。申し訳ないのですが、これでは焦点がボケてるので、何の店かわかりませんよ」とストレートに指摘するとAさんは目を白黒させていました。
Aさんは体に良い県産品のイメージができ上がっていましたが、消費者の立場からすると体に良い県産品とは何かということになり「分かりにくい」わけです。分かりにくければ、人は動きません。ましてや国際通りの観光客はわずか数秒でAさんの店舗前を通るのですから分かりにくければ店舗に引き込めません。
このレベルであれば、だれでも指摘できると思います。問題は、「じゃどうすればいいの?」という具体的な解決策が提示できるかです。確信的な答えをコンサルは持っていなければいけません。
「体に良い県産品の店では、特徴がないので既存土産品との差別化もできません」と改めて指摘し、分かりやすさの法則で「黒糖専門店をしたらどうですか?」と提案しました。
「黒糖専門店?」Aさんは、私の提案にしばし考えていました。自分の考えていた構想と違うことを提案したわけですから、当然だったかもしれません。
「黒糖は、県産品として本土でも認知度が高く、黒糖、黒糖菓子は売れています。黒糖関連商品は多いので、品揃えも困りません」。
私は、黒糖の市場性について以前から調査していましたから、黒糖関連商品専門ショップを作れば売れるのは分かっていました。国際通りの中心部に位置する黒糖専門店を作れば、売れるのは間違いないと予測できたからです。黒糖専門店のビジネスモデル案は私の中ですでにあったのです。黒糖の可能性、商品構成について私からいろいろ説明を受けたAさんは、黒糖が売れるということをだんだん理解しはじめました。
「黒糖でもこだわって純黒糖とか品揃えしたいですね」と、黒糖専門店にする提案を受け入れてくれました。
「それと、黒糖専門店ですから店名を『黒糖屋』にしたらどうですか?」と私が店名を提案すると、「いいわね。看板のデザインはどうしたらいいのかしら?」と聞くので、白い紙に看板のラフデザインを描くと「なるほど」とAさんはうなずきました。イメージが膨らんだようです。
それから数週間後、大きく「黒糖屋」と店の看板ができ上がり、こだわりの黒糖を仕入れ7坪の小スペースからスタートしたのです。
もともと立地が良いので、集客も良く、一年目で数千万円(7坪)の売上を達成したのです。これはいけると自信をもったのか、Aさんは、ジュエリーの売場を縮小し、黒糖の売場を拡張しました。現在、売上をさらに伸ばしています。