民間企業のコンサルをして感じるのは、経営者、幹部に、人の能力を見抜き、人を育てる能力がない人が案外多い。
琴線を読めない経営者、幹部に人材育成はできません。
指導する側の問題点として左記のような点が挙げられます。
・指導者の心理分析力不足
・教える技術力不足
・意思疎通のかい離
・教えるシステムの不備
・人材育成ビジョンの不備
売れる法則で心理メカニズムを理解し、人をコントロールして結果を生む結果を生むには、洞察力、感性力、仮説力、実践力が必要です。売れる法則と同様に、人材が育つ結果を生むには洞察力、感性力、仮説力、実践力が経営者、幹部に必要なのです。
教える側が心理分析のスキルと身につければ、意思疎通のかい離という愚行をしなくてすみます。マーケティングで使う顧客心理分析のスキルを社内スタッフ人材育成に応用すれば、より効果的な人材育成に繋がります。
人材育成、人間的成長を掲げる会社は多い。コンサル先の人材育成もするのですが社員の仕事の能力を伸ばせていない会社がほとんどです。人材育成といいますが、社長・経営者が得てしてやりがちなのは、マネジメント信仰や理念経営にかぶれることです。
社長、幹部が「琴線が読めない人」の場合におきます。
ドラッカーは素晴らしいとおもいますが、ドラッカーが日本で人気なのはマネジメント信仰が強すぎるからかもしれません。
マネジメント信仰に並んで多いのは理念経営信仰です。
「感謝」「人間力」の表面をなぞるだけの研修とかするのですが、そういう会社はだんだんおかしくなっていきます。
「感謝」「人間力」をテーマにするのは良いのですが、表面をなぞるだけでは、テクニックにしかすぎません。
人間的成長と仕事のスキルは本来リンクしているのですが、表面的な人間的成長を標ぼうする経営コンサル会社に毒されてしまっています。
表面的な人間的成長にありがちなのは、トイレ掃除です。
トイレ掃除自体は悪くはありません。素手でトイレ掃除を強要する経営者もいるので困ったものです。業績が傾いているのに、トイレ掃除をすれば業績が回復するとトイレ掃除に精を出して倒産したという話もあり、まさしく悲劇であり、喜劇です。
トイレ掃除が悪いのではなく、経営者が部下の仕事の能力を引き上げる能力がないことが問題なのです。
以前コンサルをしていたA社は人材育成に時間と動力をかけて取り組んでいました。理念経営に経営者がかぶれていました。
A社には、さぞかし素晴らしい人材が揃っていると期待していましたが、コンサルを開始して、社員の能力があまりにも低いことに愕然としました。朝礼では「感謝」「ありがとう」などいう言葉が飛び交っていましたが、非常に表面的に、居心地が悪いものでした。
M社長から「有能な企画スタッフ」と20代のBさんの指導をお願いされました。人の能力が透けて見える私は、Bさんを見た瞬間、あまり深く考えない、幼さを感じました。
だだ、少しは人間的芯はあるので、鍛えがえがあるなぁと。
実際指導してみるとBさんは、国立大学出で頭の回転が良いのは分かったのですが文章の書き方、電話の掛け方、仕事のやり方などは、まったくなっていません。
M社長から有能な社員だと聞いていたので、ギャップに驚きを感じました。
要するに、M社長は、社員教育を熱心にしているのですが、重要な社員の能力を高める能力が社長、幹部にないことに気が付きました。M社長は、社員の仕事の能力をどう具体的に高めていくのかが分からなかったのだおもいます。
もちろん人間的成長も大事ですが、人間的成長だけに注力して仕事の能力向上は本人に丸投げされています。人間的成長といっても、その人の本質を見抜く洞察力がなければなりません。M社長には、洞察力はどう見てもない。頭の良さは、素材なのでほっといても仕事の能力が伸びるというわけではありません。会社で、どう鍛え、一人前にするべきですが、A社では経営者・幹部が社員を鍛えることができていません。
Bさんは、そのままほっとけば使えない人間になります。
そこで仕事のイロハから教えていきました。
時には、「仕事のレベルが低すぎる。給料分の仕事はしろ!」と、叱責することもありました。
Bさんは、鬼のようなコンサルとおもったかもしれません。コンサルが、クライアントの社員に、そのようなことに言うことはコンサルからすれば、損なことだと思われるかもしれません。
当たり障りのないことを言っていれば恨まれることもありませんので。
頭は良いが仕事の能力が低いBさんに、どうスキルを付けてもらうのか、が課題でした。本来は、社長、上司などがやるべきなのですが、社長、上司が部下の能力を高める能力がありません。
ですのでコンサルの私が教え、仕事の能力を高めることをしなければならなくなったのです。
そこで、企画、営業会議に参加し、どのように営業をかけていくのか、企画を組立ていくのか、やってみせて、自分たちで進めていけるようにサポートしていきました。ミーティングで意識したのは、「なぜこのアイデアが出たのか」ということを、その時々で、「なぜこのアイデアが出たのか」のプロセスを丁寧に解説していきました。
アイデアをアウトプットするまでの私の頭の中を開示することで、どうやってプロセスがあってアイデアに行きついたのか、Bさんをはじめ若い社員に理解してもらい、考え方のプロセスを落とし込んでいくわけです。
どのようにアポイントメントをとればいいのか、どのように営業戦術を組み立てるのか、実際の現場で、やってみせて成果をださせることで、よりリアルに実感できるのです。
本来、経営者、上司やそのような仕事のやり方を教えるべきですが、そのような能力が欠如しているので、社員は成長はしないわけです。
叱咤激励しなが、実際の現場でいっしょにやってみせ、議論し指導すると、元来頭が良いBさんなので、仕事のやり方をどんどん吸収してきました。
2年間くらいM社をコンサルしていましたが、Bさんは仕事の能力も高くなり、現在は、M社の有能なスタッフとして会社を代表して会社説明会など仕切っているようです。